ニュース 石油・化学 作成日:2011年3月1日_記事番号:T00028486
1日付工商時報は、台塑集団(台湾プラスチックグループ)が、シンガポール・ジュロン島に石油精製からエチレン生産までを行う一貫プラントの建設計画に着手したと報じた。同プラントの規模は、台プラが雲林県に設置している第6ナフサ分解プラント(通称六軽)と同程度で、投資額は少なくとも2,500億台湾元(約6,920億円)とされる。王文淵・台プラ総裁が今月9日にグループ幹部を帯同してジュロン島を視察する予定だ。
ジュロン島はシンガポール南西沖の7つの島を埋立工事により連結した人工島で、総面積3,200ヘクタール。埠頭(ふとう)20カ所を備え、高速道路によってシンガポール本島と連絡している。シェル、エクソンモービル、シェブロン、BASF、住友化学、三井化学など大手をはじめ海外企業95社が進出し、アジア最大の石化製品生産・物流基地となっており、石油取引センター、石油精製基地としても世界で3本指に入る。
中台投資計画に不透明感
台プラの計画について工商時報は、ジュロン島への石化大手の集積を目指すシンガポール政府が 同グループに働き掛けたとしている。
一方、台プラも第6ナフサ第5期拡張計画が環境影響評価への対策で遅延していることや、中国・浙江省寧波市における第2期拡張計画(大エチレン計画)で製油事業が認められるかどうかが不透明な情勢となっていることから、他の地域での投資機会を模索しているとみられる。ジュロン島はインフラが整っているほか、インドネシア、タイなど東南アジア諸国連合(ASEAN)市場に近いこと、中国への輸出にも免税措置が受けられることから好感しているようだ。
また、長春集団(CCPG)など現在同島に既に進出または進出を予定している台湾石化企業で、川上への投資を行う業者はなく、欧米メーカーが生産を主導する川中製品は特殊化学品に偏っているため、台プラが川上・川中一貫プラントを設置すれば一定の競争力を持つと工商時報は指摘している。
福建省でも投資模索か
台プラは現在、今後の成長の原動力を確保するための投資を加速しており、台湾第6ナフサ、中国寧波のほか、米国でもエチレン、プロピレンの生産拡大に8億米ドル、ベトナムでの大型製鉄所建設にも150億米ドルを投じる計画で、シンガポールへの投資計画はこれと同列の大型投資となる。
また王・台プラ総裁は3日、北京を訪問し現地の石化関連企業と会う予定とされるが、これは中国政府が「第13次五カ年計画(十三五)」(2016~20年)で開発を進めるとされる福建省寧徳石化園区への投資を模索するためとみられている。
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