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半導体・液晶パネル、中国資本に投資解禁


ニュース その他分野 作成日:2011年3月3日_記事番号:T00028546

半導体・液晶パネル、中国資本に投資解禁

 半導体製造や液晶パネル、工作機械などの台湾の重要戦略産業で、経済部は2日、中国資本による投資解禁を発表した。半導体、液晶パネルの場合、中国資本の出資比率は10%以下で、中台合弁を行う場合、中国側は出資比率50%以下とすることなどの条件が設けられた。今後、中台間で大手による提携が相次ぐ可能性もある。3日付経済日報などが報じた。


本に対する第2次投資解禁を発表する施顔祥経済部長。これにより製造業全体の3分の2が開放対象となった(2日=中央社)

 今回開放されたのは、製造業25項目、サービス業8項目、公共建設9項目の計42項目。製造業は開放レベルに応じて三段階に分類した。

 ▽半導体▽半導体のパッケージング・テスティング(封止・検査)▽液晶パネルおよびその部品▽金属切削加工用工作機械▽電子・半導体生産用機械設備──の第1類は、中国資本の出資比率10%以下、また中台合弁で新会社を設立する場合、中国側は出資比率が50%以下で主導権を持たないこと、戦略性を持った提携であること、の条件が設けられた。

 また、▽肥料▽冶金(やきん)機械▽その他金属▽木工機械設備──など10項目の第2類は、中国資本による出資比率は20%以下に制限された。▽染料・顔料▽金属モジュール▽電池製造▽風力発電設備▽産業用機械設備の保守・取り付け──など第3類は、中国資本による出資比率に制限を設けず、100%資本による新規投資も可能とした。



「戦略思考を重視」

 施顔祥経済部長は、2009年6月の第1次に続く今回の追加開放について、「両岸(中台)の産業提携の戦略思考を重視した」とコメント。液晶パネル産業を例に挙げ、中国の販売業者の出資を受け入れれば、台湾メーカーは中国側に固定した販売ルートを確保できるとメリットを説明した。

 投資解禁を受けて、中芯国際集成電路製造(SMIC)や京東方科技集団(BOE)、TCL集団など、半導体や液晶パネルの中国大手による、台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)、友達光電(AUO)、奇美電子(チーメイ・イノルックス)の台湾大手企業への出資が可能になる。

 これについてTSMCは2日、「どこの資本であろうが長期投資は歓迎する。しかし、経営への参画意欲を持つ中国資本には興味がない」とコメントした。

COSCO、陽明子会社に出資か

 なお、今回サービス業では埠頭(ふとう)、水上運輸補助業務などが、中国資本による出資比率50%以下の条件付きで開放された。これを受けて、中国遠洋運輸集団(COSCO)が陽明海運(ヤンミン・マリン・トランスポート)の子会社、高明貨櫃碼頭に出資し、共同で高雄港第6貨物ターミナルの開発を共同で行うとの観測が出ている。

液晶パネル中国投資、近く規制緩和も

 重要戦略産業への中国資本の受け入れ開放に続いて、台湾企業の液晶パネル分野の対中投資で、台湾での技術レベルより1世代以上遅れた技術に制限する政府の現行規制、いわゆる「N−1ルール」の見直し、および中国パネルメーカーへの出資・買収解禁が近く発表されるもようだ。

 「N−1ルール」が撤廃された場合、AUOは台湾と同レベルの8.5世代工場を江蘇省昆山に設置すると観測されている。

 中国は年間4,000万台以上が販売される世界最大の液晶テレビ市場で、中国業界との協力をいかに深められるかが、台湾パネル業界の今後の競争力を左右することになる。

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