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iPad2発表、台湾メーカーに恩恵期待


ニュース 電子 作成日:2011年3月4日_記事番号:T00028574

iPad2発表、台湾メーカーに恩恵期待

 米アップルは2日(米国時間)、タブレット型パソコンの第2世代モデル「iPad2」を発表した。発売は米国で11日、世界26カ国で25日からと市場予測より大幅に早まったほか、初代モデルに比べ機能がさらに充実した。今年もアップルがタブレットPC市場をリードするとみられ、多くの部品供給や組み立てを担う台湾メーカーにも恩恵が期待される。ただ、機能を向上させての価格据え置きはサプライヤーにとって利益率の低下を意味し、4日付電子時報は「出荷量を増やして薄利を補いたい」との部品メーカーの声を伝えている。


スペックが大幅に向上したiPad2の予想より早い発売に加え、初代モデルも100ドル値下げとなり、これを脅威と感じる他ブランドがタブレット新製品の発売を前倒しするとの観測もある(アップル提供)

ラーガンに最大の恩恵

 新モデルの大きな変更点としては、▽さらなる薄型化▽カメラ機能搭載▽処理速度アップ──が挙げられる。同日付工商時報は、製品の表裏にカメラが一つずつ装備されることになり、アップルにレンズモジュールを供給する大立光電(ラーガン・プレシジョン)が最大の恩恵を受けると指摘した。また新モデルのカラーにホワイトが加わったことで筐体(きょうたい)を供給する鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)も、iPadによる業績貢献度がさらに向上する見込みだ。

 このほか同紙は、iPad2の液晶パネルサプライヤーに台湾から唯一、奇美電子(チーメイ・イノルックス)が加わったとの観測を伝えた。また奇美電のパネルに組み合わせるドライバIC供給も、聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)がルネサスエレクトロニクスから奪取したとの見方が出ている。

 さらに同日付経済日報によると、iPad2にベースバンドチップを供給するクアルコムが、発売に合せて台湾積体電路製造(TSMC)への委託発注量を増やしており、同社の生産ラインはひっ迫状態が続いている。TSMCはブロードコムからもアップル向けタッチスクリーン制御ICの生産を受託しており、iPad2効果で大きな恩恵を受けそうだ。

 一方、これまで全くアップル製品への供給が実現していない台湾のIC設計業者は、川下顧客のシェアが、今年4,000万台以上の販売が予測されるiPadおよびiPad2に押さえ込まれ、業績に影響が出ると危機感を募らせている。



鴻海、利益率アップか

 iPad2の組み立てを担当する鴻海科技集団について、花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ)は「iPadとiPad2が今年の売上高に占める割合は11〜12%で、昨年の5〜6%の2倍に拡大する」と予測。さらにiPad2の受託生産による営業利益率は初代機を上回る1.5〜2%となると好感している。しかし、これに対しUBS証券は「iPad2の組み立ては基本的に損益均衡ライン上にあり、鴻海の売上高には貢献するが、利益への貢献は割り引いて考えなければならない」と指摘した。

台湾発売は未定

 なお、iPad2の台湾発売時期は現時点で未定となっている。小売業者は、初代iPadの台湾発売は、約半年遅れだったため、今回も今年半ば以降になる可能性が高いとしている。ただ、近年アップルは中国をはじめとするアジア市場を重視しているため、それほど遅くならない可能性もある。

【表】