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凶悪犯から心臓移植、「人格乗り移る」は迷信


ニュース 社会 作成日:2011年3月7日_記事番号:T00028577

凶悪犯から心臓移植、「人格乗り移る」は迷信

 4日午後6時半、台湾各地の刑務所で死刑囚5人の処刑が一斉に行われ、そのうち生前に臓器ドナーの登録をしていた3死刑囚の臓器が、レシピエント(臓器移植の受容者)に移植された。死刑囚の臓器が移植されるのは、2002年以来9年ぶりだった。

 財団法人器官捐贈移植登録中心(臓器移植登録センター)によると、3月7日現在、7,107人が臓器移植を待っている(腎臓5,391人、肝臓1,002人、角膜545人、心臓128人、膵臓73人、肺23人など)。

 今回ドナーとなった管鐘演死刑囚は、7人の命を奪った殺人犯。台北看守所で銃殺刑に処せられた後、心臓、肝臓、腎臓、角膜が計6人のレシピエントに移植された。

 他の2人も、インターネットを利用して知り合った男女9人に強盗やレイプを繰り返したり、老婦人ばかり4人を殺害したりした凶悪犯。高雄燕巣第二監獄で処刑され、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、角膜などが計10人のレシピエントに提供された。

 しかし、死刑囚からの臓器提供を拒否するケースも少なくない。今回も、腎臓の待ち順1位の患者が、「死刑囚の臓器はイヤ」と移植を拒否したという。

 腎臓が悪い場合は透析という手段あるが、心臓や肺の場合は一刻の猶予もないケースが大半だ。かつて1999年に死刑囚の心臓を移植した謝さんもそんなひとり。267日間もドナーの出現を待っていた当時28歳の彼に、提供者として巡ってきたのが、当時、台湾社会を恐怖のどん底に陥れた白暁燕さん(台湾人歌手・白冰冰と漫画家・梶原一騎の娘)誘拐殺人事件の主犯、陳進興死刑囚の心臓だった。

 「極悪人の『心』が乗り移るのでは」と最初は抵抗感が強かったが、「悪いのは陳進興の頭で心臓じゃない」との主治医の一言で迷いが消えたという。

 謝さんは移植によって新たな命を獲得し、結婚もして良き父親となった。性格にまったく変化は見られないそうだ。どうやら「臓器移植で人格が影響を受ける」といった現象はSFの中だけのようだ。