フィリピンと台湾の警察当局は８日、フィリピン北部イザベラ州パラナンに潜伏していた台湾の指名手配詐欺犯、黄育斌容疑者（30）を逮捕し、身柄を台湾に送致した。フィリピン当局は先月、別の事件の台湾人詐欺事件容疑者14人を中国に移送したことで台湾との間で外交摩擦が起きていた。今回の措置は台湾側に関係改善の意向を示す狙いがあるとみられる。中央社などが９日報じた。
台湾に護送された黄育斌容疑者（中）。フィリピン側は今週、移民局情報局長を更迭して台湾側に陳謝の意を示したとも伝えられる（９日＝中央社）
フィリピン側の措置に対し台湾外交部は８日、「台湾と共同での犯罪取り締まり、および司法分野での協力メカニズムを確立する上で正しい一歩となる」と評価する声明を発表。その上で、「両岸（中台）の容疑者移送においては、いわゆる『一つの中国政策』とは関係ないことが証明された」と強調した。
黄容疑者は中台をまたに掛けて電話詐欺を行い、2007年12月に台湾警察当局から詐欺罪で指名手配を受け、中国、フィリピンと行方を転々とさせていた。今回の事件では台湾人と中国人の共犯28人も逮捕されている。
