ニュース 電子 作成日:2011年3月11日_記事番号:T00028718
鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の液晶パネル最大手、奇美電子(チーメイ・イノルックス)の段行建執行長は10日、同社の中小型パネル部門とタッチパネル部門をそれぞれ新会社として立ち上げ、会社を3分割すると表明した。奇美電本体はシステム・大型パネル事業を担当する。3社合併で巨大化した組織を担当製品ごとに改めて3分割することで、効率的な事業経営を目指す。11日付電子時報などが報じた。
段執行長は会社3分割を決めた理由に業務の簡素化を挙げた。現在の奇美電は昨年3月、旧・奇美電子(CMO)、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)、統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)の3社合併を経て成立した。トポリーは中小のニッチ型製品が中心、イノルックスはIT製品・中小型中心、CMOは大型から小型まで全製品をカバーと、3社はそれぞれ特色が異なっていたため合併効果を得るのに時間がかかっていた。
このため会社3分割を通じて、煩雑な管理を各社が分担することにより経営効率が高まることを期待している。段執行長は「従業員に新たな創業のチャンスを与えることができる。また、比較的低コストでの資金獲得が容易になる」と利点を説明した。分割計画の詳細についてはさらに詰めるとしている。
奇美電が100%出資
なお、新たに立ち上げる2社は奇美電の100%出資とし、計上した利益は奇美電の決算に反映される。
段執行長は、合併から1年がたった奇美電の最重要課題として、鴻海集団内の需要のみでは膨大な生産能力を消化できないため、外部顧客向けの出荷拡大を挙げた。今年、システム製品は 前年比で出荷増が見込めるものの、重視すべき項目では決してないとしている。
設備投資14%増、1千億元に
同社は今年、前年比14%増の1,000億台湾元(約2,800億円)の設備投資を予定しており、そのうち7割を第6世代工場、第8.5世代工場の生産ライン増強に投下、さらにタッチセンサーパネルの生産拡充を図る。
南部科学工業園区(南科)の第6世代工場は、現在ガラス基板投入ベースで月産18万枚を今年末までに20万枚に、南科高雄園区の第8.5世代工場は現在の同3万枚から年末段階で5万4,000枚に引き上げる。
主に3.5インチタッチセンサーパネルを生産する中国・広東省龍華の第2.5世代工場は、現在の同7万5,000枚を年末段階で8万枚に、主に10.1インチタッチセンサーパネルを生産する新竹科学工業園区(竹科)竹南基地の4.5世代工場は、現在の同4万1,000枚から年末に4万5,000枚に拡充する。さらに10.1インチタッチセンサーパネルが主要製品の南科の第4.5世代工場は、現在の同2万枚を年末段階で7万枚へと大幅に引き上げる。
昨年の赤字148億元に
同社は10日、昨年第4四半期の業績を発表した。第4四半期は、欧州連合(EU)による価格カルテルに対する制裁金への対応として67億元の引当金を計上。これに本業赤字が加わって通期の赤字は241億2,700万元、2010年通年の赤字額は148億3,500万元となった。これは業界で中華映管(CPT)に次ぐ悪い業績だ。
今年2四半期の見通しについて段執行長は、IT製品の出荷は前期比で横ばいまたは若干の上向きとなり、液晶テレビ用パネルは欧州景気が依然低迷しているために前期比でやや下落するが、全体としては出荷成長が見込め、これに伴い売上高も増加するとの見方を示した。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722