ニュース その他分野 作成日:2011年3月18日_記事番号:T00028868
17日の外国為替市場で円相場が一時戦後最高となる1米ドル=76円台まで急騰したことに対し、台湾で自動車、家電、衣類などの日本製品を販売する主要業者はいずれも、「今回の急激な円高は短期的な現象」として、コスト上昇分は自社で吸収し、値上げはしないとの考えを示した。なお、投資コンサルティング、玫瑰石顧問の謝国忠・首席エコノミストは今回の急激な円高について、「投機的なもので、今後円相場は急転直下し、原発問題が長引けば1米ドル=100円まで下がる可能性もある」と指摘。これに伴いアジア通貨も下落するとの見方を示した。18日付工商時報などが報じた。
裕隆日産汽車は17日、輸入高級車「インフィニティ」(写真はインフィニティFX)の11年モデルを発表。今回の円急騰に伴う価格引き上げは行わないと表明した(同社提供)
「長期化すれば再検討必要」
今回の円高は、東日本大震災により生命・損害保険会社など日本企業が海外資産を売却するとの思惑、また日本経済の悪化が世界経済にも影響を及ぼすとの観測の下、「比較的安全な資産」である日本円に投資資金が集中したため進んだとされる。
トヨタの台湾総代理、和泰汽車、裕隆日産汽車、台湾ホンダの日系自動車販売大手は、「一時的な投機筋の動きが要因」との判断の下、値上げはしない構えだ。
ただ、裕隆日産は今年上半期の新車販売価格を1米ドル=90円のレートで算出しており、仮に70円台が長期化すれば、再検討が必要になると表明した。次回値上げの次期は早くても7月以降としている。
台湾日立、台湾松下電器(パナソニック台湾)、ダイキン工業の台湾総代理店、和泰興業も、今月新製品価格の引き上げはしないと表明したばかりで、今回の円相場上昇を直ちに販売価格に反映させることはあり得ないとの立場だ。
また、シャープ製品の輸入・販売を手掛けるシャープと声宝(サンポ)の合弁会社、夏宝は、「10年前から米ドル建ての決済に切り替えているが、シャープは依然日本円で出荷価格を提示しているため、円高の影響を受ける。しかし、今回の場合は当面シャープ本社または総代理店が吸収する」と説明した。
このほか「コムサ・デ・モード(COMME CA DU MODE)」など日本ブランドの衣料を輸入販売する満心企業の李俊良董事長も、「今回の上昇では特に対応策は取らない」としている。
対台湾元レートも半年で最高
一方、日本円の対台湾元レートも17日、1円=2.64台湾元と昨年9月以来の最高をつけた。台湾は日本からの輸入が全体の20%を占めているため、輸入性インフレの懸念が強まるが、中央銀行の彭淮南総裁は「事態はそれほど深刻ではない。大丈夫だ」と発言。日本銀行が既に大規模な通貨安定策を打ち出しており、円相場は今後必ず安定に向かうと強調した。
また永豊金融公庫の黄蔭基首席アナリストは、台湾が日本から輸入しているのは主に機械設備や耐久消費財であるため、生活物資への影響は大きくないと指摘した。
18日は反落、G7協調介入で
なお、急激な円高を受けて主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は、18日早朝に電話会議を行い、G7各国が協調介入を行うことで合意したことを明らかにした。
これにより同日昼の東京外国為替市場の円相場は1米ドル=81円台後半まで反落した。
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