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メットライフ台湾事業、中信金が買収


ニュース 金融 作成日:2011年3月29日_記事番号:T00029077

メットライフ台湾事業、中信金が買収

 米生命保険大手、メットライフの台湾法人、大都会人寿保険の売却入札は18日、中国信託金融控股(中信金)が1億8,000万米ドルで落札に成功した。中信金はこれにより生命保険分野への進出を果たし、金融グループとしてのサービス多様化を通じて収益性の向上を見込む。中国進出計画にとってもプラスになると期待している。29日付工商時報などが報じた。


呉一揆・中信金総経理(右2)は「外部からの資金調達や、(南山人寿売却の際のような)中国資本がかかわる懸念もなく、この上なく良好な取引」と満足げに話した(28日=中央社)

 大都会人寿の売却をめぐっては昨年4月、国票金融控股が1億1,125万米ドルでの買収を発表したが、行政院金融監督管理委員会(金管会)が認可しなかったため、今回改めて入札が行われた。中信金による合併は金管会の認可を得られる可能性が高いとみられている。

 大都会人寿は台湾での事業展開が22年に及び、30万7,000人の契約者から100万件に上る保険契約を得ており、純資産は98億台湾元(約272億円)。電話営業による保険販売ではシェア1位だ。中信金は大都会人寿合併によって資産規模が1兆8,600億元に拡大し、業界8位の華南金融控股に迫ることになる。

新たな合併も視野

 呉一揆・中信金総経理は合併後の展開について、当面は中国信託商業銀行(CTB)の支店網を通じた保険商品の販売増に注力し、その後他社の買収による規模拡大も視野に入れていると表明した。

 また、大都会人寿の顧客の権益は100%保証すると強調。624人の従業員も雇用を継続し、給与・福利制度を2年間変えないとした。なお「大都会人寿」の名称はメットライフが商標登録しているため、株式の移転完了後、直ちに社名を変更するが、新社名については検討中と説明した。

相次ぐ外資系生保の台湾撤退

 外資系生保の台湾市場撤退は2008年以降、▽オランダ金融大手INGグループ(安泰人寿保険)▽英プルデンシャル(保誠人寿保険)▽オランダ系生保大手エイゴン(全球人寿保険)▽米保険大手AIGグループ(南山人寿保険)──と続き、メットライフで5社目となる。

 メットライフ国際事業部のピーター・スミス・アジア太平洋地域マネージングディレクターは台湾撤退について、「保険市場が成熟しており、外資系業者が大きく規模を拡大することが難しいため」と説明した。

 現在台湾で展開する生保30社のうち、外資系は7社でシェア1%に満たない。今後、撤退の可能性がある業者について金管会の黄天牧保険局長は、かつて売却入札が流れたニューヨーク・ライフ・インシュアランス(紐約人寿保険)が現在も検討中のほか、英保険大手アビバも、台湾の第一金融控股との合弁生保会社、第一金人寿保険からの出資引き揚げを計画しているが、現時点で動きはないとしている。

 一方で金管会は、「依然多くの外資系保険会社が台湾での発展を望んでおり、特に外資系の撤退が相次いだ後は、新たにシェアを拡大するチャンスとなる」と強調した。

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