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域内空港の8割が赤字、利益誘導で乱立


ニュース 運輸 作成日:2007年10月1日_記事番号:T00002922

域内空港の8割が赤字、利益誘導で乱立


 地方空港が選挙の利益誘導で増え続け、国際空港も含めた空港数は今や25県市で18カ所、世界一の密度になっている。監察院審計部の統計によると、このうち黒字を計上しているは桃園国際空港、松山空港、高雄小港国際空港の3カ所だけで、残りの8割は赤字経営だ。台湾高速鉄路の開通もあって地方空港は不振に拍車がかかっており、地域によっては廃止を求める声すら出ている。1日付中国時報が報じた。
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 交通部の政策決定関係者は、「地方空港の建設計画はいつも選挙前に決まり、運営も選挙をにらんで行われる」と語る。屏東空港は2001年の立法委員選挙の1年前に建設が決まり、ターミナル建設に15億元(約53億円)を費やした。それぞれ5億元で整備した恒春空港(屏東県)や花蓮空港新ターミナル、清泉崗空港(台中県)は04年総統選前に「タイミング良く」営業を始めるなど、地元の建設業者を潤し雇用にも貢献するはずの地方空港と選挙は密接な関係があることが見て取れる。

 数十キロと離れていない恒春、屏東両空港の建設にかかわった行政院経済建設委員会(経建会)の関係者は、「経建会は当時、高鉄開通などを理由に反対した。しかし政府の圧力で建設に同意せざるを得なかった」と打ち明ける。この関係者は、「交通部は投資効果の評価も行わず、票が集まればそれでいいと考えている」とも指摘している。

損失106億元に

 地方空港の乱立が進んだ結果、「閑古鳥空港」が増え続けており、統計によると清泉崗空港の利用率46%はまだ良い方で、花蓮空港19%、屏東空港7%、恒春空港5%と惨憺(さんたん)たるありさまだ。高鉄開通によって西部の航空路線は運行数が半分に減り、高鉄沿線の空港利用率は急降下している。頼士葆立法委員(国民党)の調査によると、01年から06年までの地方空港の赤字総額は計91億元で、07年度の予算分を加えると赤字額は106億元に達するという。

需要は度外視

 行政院公共工程委員会(工程会)は、05年より各県市の利用の少ない公共施設を調査し、大小152カ所を挙げて活性化を計画している。顔久栄工程会工程管理処長は、「名前が挙がった公共施設の利用が少ないのは、需要を考えず作られたことが原因」と語る。李建中前工程会副主委も、「選挙の利益誘導や長官の交代によってコスト評価が省略されたり、専門家の意見が軽視され、審査制度が意味を失っている」と問題点を指摘している。

 立法委員選、総統選を来年に控え、今、公共事業計画が乱発されている。9月初め行政院は、総額302億元を投じて11年までに、台中大都会歌劇院、国家デジタル図書館、台湾工芸文化園区、故宮南院分院、台湾歴史博物館などの文化施設を中南部に建設することを一気に決めた。この種の公共事業で最も大規模なものが高雄の衛武営芸術文化中心で、総額83億元をかけ12年の完成を予定している。こうした施設は市民の暮らしを豊かにするものもあるかも知れないが、地方の閑古鳥空港の二の舞にならないと誰が言えるだろうか。