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北部海岸に放射能飛来、植物を汚染


ニュース 社会 作成日:2011年4月7日_記事番号:T00029224

北部海岸に放射能飛来、植物を汚染

 北部海岸4カ所で採取された植物から微量の放射性物質のヨウ素131が検出された。東京電力福島第1原子力発電所から流失したとみられる放射性物質が、台湾の自然界で見つかったのは初めて。行政院原子能委員会(原能会)は健康に影響を与えるレベルを大きく下回っていると説明したが、大台北地区(台北市、新北市、基隆市)に飲料水を供給する翡翠ダムなどで放射性物質の測定を行い、住民の不安感を取り除くよう求める声も上がっている。7日付自由時報などが報じた。


陳武雄・農委会主委は、台湾産の魚を食べるパフォーマンスを披露し、消費者に安心を呼び掛けた。一部の魚市場では売り上げが7割も落ちているという(6日=中央社)

 原能会は5日、北部海岸の新北市石門区、金山区、万里区、貢寮区の4区10数地点で、水や土壌、空気、植物のサンプル10数点を採取して放射性物質が残留の有無を調査した。その結果、4区すべてでソウシジュ(相思樹)と草からヨウ素131が1キログラム当たり2.3〜4.88ベクレル検出された。原能会は、今月3日と4日に降った雨に含まれていた放射性物質が、葉の表面に付着した可能性を指摘した。

 原能会は、ヨウ素131の量は台湾の商品における上限基準値、1キロ当たり300ベクレルを大幅に下回っており、仮に洗っていないものを1年間食べても累積量は4マイクロシーベルトで、5年間食用してようやく胸部レントゲン写真を1枚撮影した際の放射線量に相当するとして、健康に全く問題のない水準だと強調した。ヨウ素131は半減期が8日のため、台湾に到達する前に影響力が衰えているとの指摘もある。

 ただ、今回の検出を受けて、原能会は今週中にも行政院農業委員会(農委会)とともに、4区内で酪農家の牧草や、さつまいもなど農産品を対象に改めて検査を行う方針だ。

「翡翠ダムの安全確認を」

 放射性物質が台湾の自然界で見つかったことを受けて、台湾大学職業医学・工業衛生研究所の詹長権教授は、「リンゴ、牧草、乳製品、飲料水などが放射性物質に汚染されていないか注意すべきだ」と指摘。また、台北の水がめである翡翠ダムも既に放射性物質が降り注いでいる可能性があるとして、台北市政府に対し、取水口でサンプル検査を実施し、住民に飲み水の安全を保障するよう求めた。

 なお、国連科学委員会(UNSCEAR)のウォルフガング・ワイス委員長は6日、現段階の情報では福島第1原発の事故が人体に深刻な影響をもたらすことは考えられないとの見方を明らかにしている。

出漁前に海水サンプル調査

 東京電力が低レベルの放射性物質を含んだ汚染水を大量に太平洋に流したことで、台湾でも魚を忌避する動きが出ているが、陳武雄・農委会主任委員は6日、本格的な出漁シーズン前に漁船の操業海域で海水のサンプル調査を行い、安全が確認されてから出漁を許可する考えを示した。なお、台湾のサンマ船の漁場は福島から少なくとも720キロメートル以上離れているため、放射性物質は希釈されてほぼ問題はないという見方だ。

事故通報システム、中国と協議へ

 原発の安全性について関心が高まる中、頼幸媛・行政院大陸委員会主任委員は6日、同問題を中国との第7回民間トップ会談(江陳会)の議題とすることを中国側に提案し、既に初期段階の同意を得たことを明らかにした。

 台湾側は原発で事故が発生した際の即時通報システムを確立することを希望している。頼主委は「両岸(中台)は非常に距離が近い上、大陸(中国)沿岸には原発が設置されている。即時通報システムは非常に必要だ」と語った。