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対日輸出15カ月ぶり減少、震災が影響


ニュース その他分野 作成日:2011年4月12日_記事番号:T00029317

対日輸出15カ月ぶり減少、震災が影響

 財政部が11日発表した対日輸出額は前年同月比2.5%減の14億7,000万米ドルで、2009年12月以来、15カ月ぶりの前年比減少となり、東日本大震災の影響が数字に現れた。一方、輸入額は前年同月比1%増で過去2番目に高い47億9,000万米ドルとなり、日本製素材・部品の今後の供給不足に懸念を抱いた台湾メーカーが輸入を急いだことが背景にある。被災地の企業が生産を回復させれば、日本からの輸入は落ち着きを取り戻すと分析されている。12日付工商時報などが報じた。

 3月の対日輸出額は前年同月比で4,000万米ドル減少したが、これは対日輸出の約4割を占める電子製品が1億9,000万米ドル落ち込んだため。このうち、モノシリックICは前年同月比6割減の1億4,000万米ドルと最大の減少幅となった。

 対日輸入は3月、化学品が前年同月比2億1,000万米ドル増と最も拡大した。これは、信越化学工業とSUMCOの工場被災で調達が困難になると伝えられているシリコンウエハーが化学品に分類されていること、およびパラキシレンの輸入が前年同月比143%増(9,000万米ドル増)と大きな伸び幅を記録したことが大きい。また、非合金鋼半製品の輸入も前年同月比78%増(4,000万米ドル増)となり、台湾企業による化学品や基本金属への調達意欲が高まったことが反映した。

 日本からの機械設備の輸入は前年同月比で1億8,000万米ドル減と、項目別で最大の減少となった。一方、ドイツからは8,000万米ドル増、オランダからは7,000万米ドル増となり、日本からの輸入減を相殺した。 
中央大学経済学系の徐之強教授は、3月の対日輸入増は、素材・部品の確保を積極化したことの反映で、今後日本企業が生産を回復させれば落ち着いた状態に戻るとの見方を示した。一方、農産品や食品関連は、福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染のイメージから今後減少するとの指摘も出ている。

 なお、財政部の林麗貞統計長は、東日本大震災による台湾の貿易への影響は、3月段階ではまだそれほど明確ではないとの見方だ。


貿易総額、過去最高に

 3月の輸出総額は前月比28.2%増の272億5,000万米ドル、輸入総額は同25.3%増の254億8,000万米ドルで、いずれも過去最高となった。輸出は中国・香港向け(112億5,000万米ドル)、東南アジア主要6カ国向け(43億8,000万米ドル)、欧州向け(30億6,000万米ドル)が単月過去最高。米国向けは29億6,000万米ドルで、06年9月以来の最高となった。

 中国向け輸出は前年同月比9.6%増で、米国向けが同21.3%増、欧州向けが同25.1%となり、欧米向けの輸出の伸びが特に顕著だった。

 第1四半期通期の輸出総額は738億3,000万米ドル、輸入総額は692億6,000万米ドルで、ともに同期としての過去最高となった。

 好調な貿易について林統計長は、世界経済が引き続き回復傾向にあること、および国際原油価格上昇に伴う石化製品価格の高騰が貿易額に反映されたためと指摘した。今後については原油価格のさらなる上昇、台湾元の高騰、東日本大震災が観察要因としながらも、新興国経済の発展と欧米景気の回復が台湾の輸出拡大を促進するとの見方を示した。