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賃上げ企業33%、大手ほど積極的


ニュース その他分野 作成日:2011年4月14日_記事番号:T00029373

賃上げ企業33%、大手ほど積極的

 景気回復を受けて企業の賃上げ意欲が高まっており、ハイテクや金融業界では3〜5%の引き上げを予定している。経済部によると、今年賃上げを計画している企業は33%で、規模が大きいほど割合が高く、大企業ほど従業員への利益還元に積極的な様子がうかがえる。14日付蘋果日報などが報じた。

 企業の賃金引き上げには、軍人・教員・公務員の賃上げが7月に3%で計画されていることも背景にある。呉敦義行政院長は13日、「企業も賃上げを行うべきだ」と呼び掛けた。

UMC7.5%も、例年の2倍

 ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)は、昨年の大幅な増益を受けて、5月に7.5%以上の賃上げを行う。上げ幅は例年の約2倍となる。鴻海科技集団(フォックスコン)は3月以降、現場のエンジニアを対象に平均3〜5%引き上げた。同集団傘下、コネクター大手の正イ精密工業(イは山の下に威、フォックスリンク)も先日、5〜10%の賃上げを発表した。ノートパソコン受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は今年3〜4%の賃上げを計画している。

 スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)の主管によると、今年の賃上げ率は5〜10%が固い見通しだ。昨年の売上高・純利益がともに過去最高だったためで、今月末に決定する。

 通信キャリアの遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)は4月に平均3%、業績優秀者は5%以上引き上げた。従業員からは「過去2年賃上げがなかった分を今年取り戻せる」と喜びの声が聞かれた。

台プラ、5%以上も

 従来型産業では、台塑集団(台湾プラスチックグループ)は今年、昨年の4.81%を上回る5%以上が見込める。同集団は例年、基本給約3%の引き上げに加え、慰労金5,000〜1万台湾元(約1万4,400〜2万8,900円)を支給している。自動車大手の裕隆企業集団は昨年9月に4.47%引き上げており、今年分は7月に検討する。百貨店大手の遠東百貨は昨年9月の5%を上回る予想で、来月に検討を行う予定だ。

 金融業界は、富邦金融控股が3〜5%、中国信託金融控股は約4%、国票金融控股は2%を計画している。元大金融控股は毎年2〜3%引き上げており、宝来証券買収の影響はないと強調した。

サラリーパーソン、実感薄く

ハイテク・金融業界の積極的な賃上げ姿勢は、統計にも表れている。経済部が6,000社を対象に実施した調査によると、今年賃上げを計画している企業の割合は業界別で高い順に、情報・電子が53.6%、金融・保険が48.2%だった。規模別では、大企業で52.4%、中規模の企業で41.8%、小規模企業で25.1%だった。賃上げ率は「3%以下」が59%、「3〜6%」が37%だった。

 施顔祥経済部長は、中小企業の賃上げ意欲が比較的低く、公務員の賃上げに続いて欲しいと語った。一方、こうした政府からの再三の賃上げ要望に対し、中華民国全国工業総会(工総)の陳武雄理事長は「強要されている感じがする」とコメントした。

 蘋果日報がサラリーパーソン614人を対象に13日に実施した電話アンケート調査によると、「賃上げあり」との回答は15.64%にとどまり、「賃上げなし」が60.75%で最多、「賃金が減った」という回答も10.09%みられた。 

【表】