ニュース 電子 作成日:2011年4月15日_記事番号:T00029403
ノートパソコン受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)が、受託価格を再び引き上げる意向だ。東日本大震災でディスクドライブ、ハードディスク、DRAMなど部品供給がひっ迫し価格が上昇したためで、これにより下落が続く粗利益率の反転を狙う。15日付工商時報が報じた。
同社は今年第1四半期、原材料価格と台湾元の上昇を受けて受託価格を引き上げており、引き上げは2期連続となる。陳瑞聡・同社総経理は、「コスト圧力を一度に顧客に転嫁することはできないため、顧客との協議を通じて徐々に引き上げていきたい」と語った。
陳総経理はまた、ディスクドライブなどの部品供給が既にひっ迫状態になっていると指摘し、新たな供給メーカーを確保して悪影響を最低限に抑える方針を示した。また、日本の状況については「依然余震が頻発しており、生産ラインの回復は変数に満ちている」との見方も表明した。
同社の受注状況については、5月と6月の見通しに問題はないと説明した。主力顧客の宏碁(エイサー)で、ジャンフランコ・ランチ前執行長兼総経理が退陣する波乱があったものの、受注に影響は出ていないという。第2四半期のノートPC出荷台数は前期比10%増の1,133万台を見込む。
ただ、タブレットPCが既存のノートPC市場を侵食する中、今年の出荷台数5,500万台、売上高2兆台湾元(約5兆8,000億円)の目標達成は非常に困難との見方も示した。その上で「タブレットPCの出荷台数を計算に入れない限り、ノートPCの世界全体の出荷規模は、過去の20〜25%の成長率を回復することは難しい」と述べた。
部品・材料、Q2も値上がり続く
ノートPC部品では、プリント基板(PCB)が今月8〜12%、DRAMが今月上旬に6%以上上昇している。
材料では、PCB用ガラスクロス、ガラス繊維価格が上昇しており、日東紡績を筆頭株主とする建栄工業材料(バオテック・インダストリアル・マテリアルズ)は今月、ガラスクロス価格を3月に引き続き10%引き上げる。
また、アルミ電解コンデンサーも、世界最大手の日本ケミコンの生産に影響が出たため、台湾業界では、第1四半期の8〜12%に続き、第2四半期も5〜10%の価格上昇を見込んでいる。
PC業界も供給チェーン断絶
なお、UBS証券の謝宗文・アジア太平洋地区川下ハード製造産業首席アナリストは14日、「サプライチェーン断絶では、スマートフォンがPCより深刻とみられていたが、PC業界も衝撃から逃れられない」との予測を示した。
特に、部品業者がアップルや宏達国際電子(HTC)など、大量発注と料金の先払いを受けられる大手メーカーに優先的に供給を行うとみられることから、業界首位以外のメーカーは悪影響を受けるリスクがより高いと指摘した。
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