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国光石化プラント、5月に結論先送り


ニュース 石油・化学 作成日:2011年4月22日_記事番号:T00029549

国光石化プラント、5月に結論先送り

 環境問題で建設の可否が議論の的となっている国光石化科技(KPTC)の大型石油化学プラント(彰化県大城郷、通称・八軽)は、21日の環境影響評価専案小組(個別小委員会)で最終判断が下される可能性が注目されていたが、同小組は「条件付きで審査通過」「否決」の2種類の結論を作成することを決めた。決定は5月の環境影響評価委員大会に委ねられることになった。22日付経済日報などが報じた。

 台湾中油傘下、国光石化の大型石化プラント計画は、2005年の閣議決定後、08年に行政院の重大計画として第2段階の環境影響評価審査が必要となったが、難航が続いてきた。

 21日の小組会議に出席した委員11人のうち、中華経済研究院(中経院)の蕭代基院長は、台湾のエチレン生産能力は2009年時点で世界7位で、既に川中・川下の需要を満たし供給過剰となっていると不要論を主張。淡江大学財務金融学系の聶建中教授は、「天然資源を持たない台湾は、経済発展の基礎である石化原料を欠いてはならない」と推進論を展開した。賛否をめぐり11時間に及んだ議論は決着がつかず、環境影響評価審査大会での委員21人による表決に結論が持ち越されることになった。

中油、代替案を検討

 これについて呉敦義行政院長は、国光石化の開発計画に限定しないが、10万人規模の就業を守るためにも、石化産業の完全なサプライチェーンは必要だとの認識を語った。

また、陳宝郎・国光石化董事長は、「仮に『条件付き通過』となり、行政院環境保護署(環保署)の定める条件が厳しすぎれば、建設地の変更を検討しなければならない」と述べた。

 陳緑蔚・中油副総経理は、先日マレーシアを訪問したが、国光石化ではなく中油の第5ナフサプラント(高雄市楠梓区、通称五軽)移転に関する協議のためだと強調した。中油第5ナフサが15年に海外移転し、国光石化の計画も実現しなければ、エチレン50万トンの供給不足が懸念されるが、中油はエチレン年産120万トンのナフサプラントを高雄市小港区の大林蒲と鳳鼻頭の間の土地に500億〜600億台湾元(約1,400億〜1,700億円)を投じて設置する代替案を検討しているもようだ。

抗議活動に1千人

 同日、彰化県住民や環境保護団体など約1,000人が環保署前に集結して「国光石化の開発反対」「健康重視」を訴えた。

 陳曼麗・主婦聯盟環境保護基金会董事長は、環境影響評価専案小組の委員には反対意見も多かったのに「条件付き」「否決」の両論併記としたのは環境保護団体をごまかすことが目的で、「とんだ茶番劇だ」と批判した。


環境保護団体は5月の環境影響評価審査大会に向けて抗議活動を強める構えだ(21日=中央社)

 【表】