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台北のタクシー料金、値上げ決定


ニュース 運輸 作成日:2007年10月3日_記事番号:T00002974

台北のタクシー料金、値上げ決定

台北市は2日の行政会議で、台北地域(台北市、台北県、基隆市)のタクシー料金の値上げ方針を決定した。値上げ幅は来週8日の公用事業費率審議委員会で決定し、早ければ11月1日から正式に値上げ実施となる。消費不況と物価高が続く中、タクシー利用率のいっそうの低下を懸念する声も上がっている。
 
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ついにタクシーも値上げ。気軽な乗り物だった時代が懐かしい(YSN撮影)
 
 台北市交通局によると、新たな料金体系は、▽初乗り運賃を現行の70台湾元(約250円)から100元に引き上げる(甲案)▽初乗り運賃を90元に引き上げ、初乗り区間を現行の1.5キロから1.25キロに短縮し、メーター距離を現行の300メートルから250メートルに短縮する(乙案)▽初乗り運賃は70元で据え置くが、初乗り区間は1.25キロに短縮、2分ごと1回上がる現行のメーター時間(待ち時間、時速5キロ以下)を1分40秒で1回と頻度を上げ、さらに夜間は夜間料金20元を徴収する(丙案)──の3案から選ぶことが検討されている。3日付中国時報によると、3キロ以内の短距離であれば甲案の上昇幅が最も大きく、5キロ以上であれば乙案が最も高くなる。タクシー運転手の組合である汽車駕駛員工会が提案した折衷案、丙案の上げ幅が最も小さい。
 
 台北市交通局の葉梓銓科長は値上げの理由について、「台北県市と基隆市のタクシー料金は2000年以降値上げされていないが、ガソリン価格は当時の1リットル19元から30元へと跳ね上がっている。また、他のほとんどの県市ではすでに引き上げが行われている」と語り、台北地域で値上げが行わなければ不公平で、運転手を生活苦から救う必要があるためと指摘した。
 
 来週8日の審議委員会では甲乙丙の各案から最も合理的と考えられる案を選定し、16日に市議会で承認を得たい考えで、早ければ11月1日、遅くても16日に実施となる見通しだ。
 
 なお、高雄市は今年7月に初乗り運賃を従来の70元から85元に、台中市では2年前に85元に引き上げている。台中市では客離れを懸念して今年は値上げを見送る方針だ。
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悪化する運転手の収入
 
 3日付聯合報によると、消費不況で利用者の財布のひもが固くなった結果、タクシーの運転手は収入が減り、労働時間が長くなる悪循環に陥っている。値上げは朗報でもあり、客離れの懸念材料でもある。
 
 運転手歴14年の楊旭復氏は、「6~7年前は毎月7万~8万元の収入があったのに、今は腰や背中を痛め、頸椎炎になるくらい働いてもやっと4万~5万元にしかならない」と嘆く。また、運転手歴15年の孫敏雄氏も「以前は午前5時から午後3時まで働けば妻に1,800元を渡せ、時には自分のこづかいも稼げたのに、ここ数年は丸1日運転しても売り上げが1,000元に届かないことすらある」と嘆く。ガソリン代や自動車の補修費用などを引けば、1カ月の可処分所得は3万元にしかならず一家を養うのは苦しい。一方で環境保護推進のため、公共交通機関の利用促進や「ノーカーデー」実施などタクシー運転手にとっては不利な政策が進められており、「このままでは即席めんさえ食べられなくなる」と苦しい胸の内を明かしている。
 
 台北市計程車駕駛工会の鄭火賜理事長によると、現在タクシーの空車率は66%にも上っており、運転手の生活はとても苦しい。「運賃値上げは単なる対応策にすぎない。交通当局はタクシーの置かれた環境を変える、全体的な政策を考えてほしい」と訴えている。