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雨は降るのに水不足、原因は地形のせい


ニュース 社会 作成日:2011年5月9日_記事番号:T00029845

雨は降るのに水不足、原因は地形のせい

 台湾は年間の平均降水量が世界2位と、非常に雨が多い地域だ。にもかかわらず干害が深刻化し、皮肉なことに水不足の世界ランキングはワースト18位。専門家によると、地形が険しいため、豊富な雨水がすべて海へ流れ出てしまうことが原因らしい。

 そこで、干害対策の要となるのがダムだが、台湾全土のダムの総貯水容量はわずか19億立方メートル。しかも、頼みの綱であるダムで土砂の堆積(たいせき)が深刻化しているという。

 経済部水利署の資料によると、台湾の主要ダム33カ所のうち、堆砂率が30%を超えているダムは、約半数に当たる16カ所にも上る。ワーストワンは尖山埤ダム(台南市)の85%で、ダムとしての機能をほとんど果たしていないといえる。台湾最大の曽文ダム(嘉義県)でさえ、堆砂率は34%にも達している。

 46年の歴史を持つ白河ダム(台南市)も、堆砂率は61%とかなり深刻だ。現在の総貯水容量は970万立方メートルと、ダム完成時の2,500万立方メートルの4割にも満たず、大部分でダムの底が見えかん木が茂っている。周辺の私有地が乱開発され、土砂が流れ入ることも拍車をかけている。

 ダムの貯水量を確保するためには、ダムの底をさらって土砂などの堆積物を取り去る「浚渫(しゅんせつ)」という土木工事が不可欠になる。しかし、最低でも1~2年の時間がかかる上、期間中は周辺農地へのかんがいが完全にストップするので、補償なども含めて数十億~数百億台湾元という莫大な経費がかかる。

 白河ダムは2年前から浚渫の実施を計画し、政府に申請しているものの、いまだ実施されていない。どうやら政府は、70億元という経費が経済効果に見合わないと判断し、着手を渋っているようだ。

 積極的に対策を講じようとしない政府に対し、専門家らは危機感を強めている。「浚渫の実施や新たな水源確保など、すぐに対策を講じなければ、将来の干害は目に見えている」と警告を発している。