ニュース 公益 作成日:2011年5月10日_記事番号:T00029903
水不足が過去8年で最も深刻な状況となっている。経済部水利署は、新北市(林口区)から高雄市にかけての計9県市を対象に、毎月の工業用水量が1,000トンを超える大口利用者への供給5%削減を決めた。早い県市で18日から実施する。影響は40の工業園区、1,500社に及ぶ見通しで、半導体、液晶パネル、石油化学、鉄鋼など各業界が渇水対策に乗り出している。10日付工商時報などが報じた。
工業用大口利用者への5%削減、非工業用大口利用者への20%削減が行われる「第2段階給水制限」は、18日より▽新北市林口区▽桃園県▽新竹県▽新竹市──、23日より▽苗栗県▽台中市▽彰化県北部▽台南市▽高雄市──の合計9県市で実施される。
3大工業園区が対象に
新竹科学工業園区(竹科)、中部科学工業園区(中科)、南部科学工業園区(南科)の台湾3大工業園区は、いずれも第2段階給水制限の対象に含まれる。
3園区すべてに工場を構えるファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、既に4月から節水に取り組んでいる。同社によるとこの結果、用水量を3%削減できており、第2段階給水制限ではさらなる節水に努めると同時に、現在85%の排水リサイクル率の向上に向け、老朽化した工場でも改善策を導入する計画だ。外部からの水調達のため、給水車の手配も計画している。聯華電子(UMC)も節水に加え、排水リサイクル率を90%まで引き上げる。給水車も既に手配済みだ。
DRAM大手、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)は研磨や洗浄などの工程で大量の水を使用するが、既に排水リサイクル率が80%に上るため、給水制限が実施されても外部調達の割合は高くならないとした。一方で、給水車と既に契約しており、節水装置の設置も計画している。林口華亜科技園区(桃園県亀山郷)に工場を持つ南亜科技、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)は、トン単位の貯水槽があるため大きな問題はないと説明した。
経済部は、工業用水の供給量を20%削減する第3段階の給水制限を、6月末までは実施しない方針だ。なお、竹科のある大手半導体メーカーは、仮に供給量削減が30%に拡大すれば、業界への打撃は東日本大震災を上回ると懸念を示した。
外部調達、企業のコスト増
液晶パネルメーカーも、第6世代工場で毎日の用水量が2万〜3万トンに上るなど、工業用水の使用規模が大きい。奇美電子(チーメイ・イノルックス)は今月2億台湾元(約5億6,000万円)を投じた排水リサイクルシステムが試験運転に入るため、今後用水量を10%削減できる見通しだ。
友達光電(AUO)は、排水リサイクル率が85〜90%と高く、雨水回収システムも持つため、短期的に問題はないが、状況が深刻化すれば外部から購入する予定だ。
ただ、工業用水を外部から調達する場合、企業には1トン当たり500〜1,000元の運送料が負担となる。
馬英九総統、あす対策会議
水不足の解消に貢献する可能性もあると期待されていた台風1号(アジア名・アイレー)は9日勢力を弱め、雨は降ったとしても宜蘭、花蓮、台東の東部地域で、ダムが10以上ある西部には及ばない見通しとなった。
馬英九総統はあす11日、渇水対策会議を開催、経済部など関連部会(省庁)から渇水の現状と対策、および経済と社会に対する影響に関する報告を聴取する。また、今週中に石門ダム(桃園県・新竹県)を視察し、水位や給水の現状を把握する予定だ。
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