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白衣の天使が客室乗務員に、過酷労働で転職相次ぐ


ニュース 社会 作成日:2011年5月11日_記事番号:T00029906

白衣の天使が客室乗務員に、過酷労働で転職相次ぐ

 「看護師(護理人)を客室乗務員(CA)にしないで!」行政院衛生署の石崇良医事処処長は10日、新北市立聯合医院を視察した際にこんな悲痛な叫び声を上げた。近年では過酷な労働環境を嫌って航空、美容業界などに引き抜かれて転職する看護師が後を絶たず、台湾全土で人手不足が深刻化しているせいだ。

 看護師資格の保有者は、現在全土で約22万5,000人。そのうち実際に看護師として働いているのは約13万4,000人、全体の6割にすぎない。つまり残りの約9万人は、資格を取っても看護師にはならず、他の業界に就職・転職していることになる。

 これが慢性的な看護師不足を招き、病院の9割で「看護師が足りない」状態を起こしており、求人が途切れることはない。中には看護師が確保できずに集中治療室を閉鎖するケースも。

 また、新人看護師の離職率は22.5%と高く、ほぼ4人に1人が就職して間もなく辞めていることになる。なお護理師護士公会全聯会の統計によると、台湾の看護師の平均勤務年数は7年と短い。

 多くの看護師が仕事を辞めるのは、1日の平均労働時間が10時間以上と、超過勤務が常態化していること、さらに看護師1人が受け持つ患者数が、理想とされる4人をはるかに上回る12〜20人と、過酷な労働環境が要因とみられる。その上給与も抑えられており、公立医院で9割を占める契約看護師の月給は、正規職員より1万台湾元も低いという。

 こうした現状を受け、台湾護理人員権益促進会は行政院衛生署に対し、病院の評価基準に看護師の超過勤務や担当患者数などを入れるよう要求。衛生署も待遇改善に努力していく方針を示している。

 看護師不足は短期的に解決できる問題ではないが、早急に対策を講じなければ、医療の質が問われることになるだろう。