ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

証券・先物市場、持ち株会社で統合へ


ニュース 金融 作成日:2007年10月4日_記事番号:T00002999

証券・先物市場、持ち株会社で統合へ

 
  証券取引所と先物取引所など4取引所を単一の持ち株会社「台湾交易所控股公司」傘下に統合する行政院金融監督管理委員会(金管会)の計画が3日、行政院会議(閣議)で承認された。中国に展開する台湾企業が相次いで香港株式市場上場を選択するなど、台湾市場の地位低下が進む中で競争力回復をねらった施策とみられるが、金融業界からは効果を疑問視する見方が出ている。4日付経済日報などが報じた。
 
T000029991

 
 台湾交易所控股は来年末に発足し、傘下に台湾証券交易所(証券取引所)、台湾期貨交易所(先物取引所)、櫃台売買公司(店頭銘柄の売買会社)、台湾証券集中保管結算所(証券決済保管振替機関)が入り、段階的に業務統合を進め、1~3年をめどに店頭市場の銘柄を集中市場(上場市場)に移す。
 
 台湾交易所控股自身も株式の上場を目指す。また、経営と監督の役割が矛盾しないよう、新たに独立した監理センターを設立し、市場の監督は同センターに任せる。

海外市場と提携

 海外の主要証券取引所とも提携を進める方針で、呉栄義台湾証券交易所董事長によると、米ナスダック市場とニューヨーク証券取引所がそれぞれ5%、独証券取引所グループも1~2%の出資を行う意向だという。ただ、持ち株会社の経営が外国人の手に握られないよう、金管会では外国人による出資上限を15~20%、単一投資家の場合、上限を5%とする考えだ。

 呉当傑金管会証期局長によると、台湾交易所控股の設立によって、市場の単一窓口化、リソースの統合、経営効率の向上、コスト低減、市場の安全性向上などの効果を狙える。

 台湾株式市場の株価の時価総額は、2000年から06年まで1.33倍に増加したが、近隣諸国の市場が台湾を上回るスピードで成長したため、時価総額ランキングはこの3年で世界16位から21位に下落した。取引額も97年の世界5位から現在17位に下降し、証券市場の「空洞化」が進んでいる。統合計画を順調に進めることによって、上場企業数の増加、取引規模の拡大、またMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)など主要投資機関による台湾株式への投資増で、台湾市場の競争力回復を期待している。

投資制限解除が先決

 しかし、摩根大通証券(JPモルガン)の林照寰董事長は、「市場の統合は時価総額ランキングにあまり影響を及ぼさない。MSCIが投資を増やすとしても、限られたものとなるだろう」と楽観論にくぎを刺した。

 また、金融当局は従来より中国をはじめとした海外の台湾企業による台湾市場での上場・公開を促しており、市場統合で「台湾復帰上場」を加速させようという意図もあるとみられるが、ある金融持ち株会社の幹部は、「企業に対する中国投資の上限制限など、投資・資金運用の制限を撤廃しない限り効果があるとは思えない」と否定的な見解だ。