ニュース 石油・化学 作成日:2011年5月13日_記事番号:T00029994
台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)で12日午後8時すぎ、火災が発生した。同グループの生産拠点での火災はこの1年間で実に4回目だ。安全を考慮し、近くの第1オレフィンプラント(OL1、エチレン年産80万トン)など3工場を一時稼動停止したため、川下の台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)、南亜塑膠工業(南亜プラスチックス)、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)が減産を行う可能性がある。13日付経済日報などが報じた。
一時は火勢が強まり、空を真っ赤に染めた。周辺住民は「落ち着いて暮らせない」といら立ちを募らせた(12日=中央社)
出火原因は液化天然ガス(LPG)パイプラインから気体が漏れ爆発、発火したこととみられる。気体に毒性はなく、延焼もせず、死傷者は出なかった。13日午前1時ごろにはほぼ鎮火した。
稼動停止となる台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)のOL1の年産能力は、▽エチレン、80万トン▽プロピレン、40万トン▽ブタジエン、20万トン──。現在の1トン当たり契約価格は順に、1,400米ドル、1,500米ドル、2,800米ドルのため、営業損失は1日当たり2億1,600万台湾元(約6億1,000万円)に上る計算だ。同社のオレフィン工場は3基でエチレン年産能力がそれぞれ80万トン、100万トン、120万トンのため、稼動停止の影響は生産能力全体の26.6%に相当する。
ただ証券会社は、OL1が稼動を停止しても、実際の損失はそれほど大きくならないと予測している。ここ数カ月、中国の金融引き締め政策が需要に影響し、台塑が高密度ポリエチレン(HDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を減産、これに伴い台塑化も既に10%減産を行っていたためだ。
なお、OL1のほか、ベンゼン生産の芳香族炭化水素第1工場、可塑剤原料のステアリルアルコール工場も稼働を一時停止する。
雲林県長、稼動停止求める
火災発生現場に同日午後10時半ごろ駆け付けた蘇治芬・雲林県長は、「住民をこれ以上被害に遭わせない」と第6ナフサの稼動停止を求める発言を行った。昨年の連続火災発生後に呼び掛けた防災管理体制が構築されていなかったことにも遺憾の意を示した。
経済部は連続火災を受け実施した大型石化メーカーに対する総点検計画、「石化業工安督導委員会方案」の第1次対象だったにもかかわらず、半年もたたずに台プラグループで再度火災が発生したことを重視し、今回の事故に対する審査は厳しい姿勢で臨み、違法が確認できれば重罰を科す可能性もあると表明した。
台プラグループで昨年起きた火災は、▽台塑化・第6ナフサOL1、7月7日▽台塑化・第6ナフサ第2製油所、7月25日▽南亜プラ・PEPA(珠光紙)工場(嘉義県)、10月3日──。今回を加えるとわずか1年以内で4回に上り、台プラグループ第6ナフサの第5期拡張計画に対する審査にも影を落としそうだ。
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