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「優良」鶏肉から禁止抗生物質、揺らぐ信頼性


ニュース 食品 作成日:2011年5月16日_記事番号:T00030023

「優良」鶏肉から禁止抗生物質、揺らぐ信頼性

 新北市の小学校の給食で出された、優良農産物の認証「CAS」認定のニワトリの手羽先から、使用禁止の抗生物質、ドキシサイクリンが含まれていたことが行政院消費者保護委員会(消保会)が今年3月に行った調査で明らかになった。新北市の独自調査でもCAS認証の給食の食肉3件で同様の問題が見つかり、認証の信頼性が問われる事態となったことで、行政院農業委員会(農委会)は検査や生産者管理の厳格化などの対応措置を取ることを決めた。16日付聯合報が報じた。


CASは台湾産の原料で生産された安全・衛生的な農産品に対する認証で、現在食肉・冷凍食品を含め18種類の産品が対象となっている(台湾優良農産品発展協会HPより)

 仕入れを行った新北市農会調配中心によると、問題の手羽先は桃園県の食肉会社から計540キログラムを購入、市内の学校、コンビニエンスストアに供給し、既にすべて消費されたとみられるという。新北市は問題発覚を受けて、市内の高校、中学、小学校の全285校に同社の手羽先を食用しないよう通達するとともに、桃園県政府に調査を求めた。

 新北市は同時に学校給食の自主検査を行った結果、6件の豚肉、鶏肉から、使用禁止の成長促進剤、およびドキシサイ クリンを0.02〜16.7ppb(10億分の1を示す単位)検出した。このうち3件がCAS認定を受けた産品だった。供給メーカーは消保会の検査でクロ判定を受けた桃園県の企業とは別で、複数の企業からの相次ぐ検出にCAS認定およびメーカーの管理の在り方に問題がある可能性が浮かび上がっている。

3回違反でCAS認証取り消し

 事態を重く見た政府は、陳冲・行政院副院長が消保会に対し、農委会や問題の起きた県市の教育局、衛生局など関連機関と対応策を協議した上で、処罰すべき対象を処罰し、CAS認証と供給メーカーへの管理を強化するよう緊急に求めた。

 農委会は、許桂森・畜牧処処長が、養豚場での薬品使用に対する監視を強化するとともに、サンプル調査の頻度を現在の1カ月に1回から2週間に1回に引き上げると表明した。現行3万〜15万台湾元の罰金も、1年内に2回目の不合格があった場合、25万〜125万元(約70万〜350万円)に引き上げ、改善されるまで産品の供給を禁止する。また、1年間に3回の不合格が見つかったメーカーに対してはCAS認証を取り消すとした。

豚肉確保が困難に

 新北市のある中学校では、給食に食肉を供給する2社のうち1社の豚肉から成長促進剤が検出された。学校はこの企業との取引を停止した一方、別の1社に豚肉の供給増を求めたが、その企業では全校約2,000人分の需要を賄えないことが分かった。

 このため同校の校長は、CAS認証を受けている他のメーカーに供給を求めたが、禁止薬検出実績のある中学校と取引した場合、仮に食肉から再度検出されれば大きな問題になることを恐れてか、応じるメーカーはないという。同校では豚肉の代わりに、魚肉やその他の食品を仕入れて生徒に供給することを余儀なくされている。

 校長はまた「台湾の規定は厳しすぎる」という不満が食肉メーカーから上がっていることも紹介した。農委会が検出を禁じている成長促進剤は、国際連合や日本は10ppb、米国は50ppbを上限規制値としており、今回同校で検出されたのはわずか0.6ppbだったという。それにもかかわらず、多くの食肉メーカーが同校への供給を断っている現状に、校長は「とても皮肉だ」と嘆いた。