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裕隆、フォルクスワーゲン車生産へ


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2011年5月17日_記事番号:T00030053

裕隆、フォルクスワーゲン車生産へ

 ドイツの自動車大手、フォルクスワーゲン(VW)が、裕隆汽車製造に生産を委託する方針を固めたもようだ。17日付工商時報によると、両社は既に4月、提携覚書(MOU)を交わし、早ければ来年から裕隆・三義工場(苗栗県三義郷)で年間4万台以上の規模で生産が始まる見通しだ。2015年にトヨタを抜いて自動車世界最大手となることを目指すVWからの受託に成功すれば、裕隆に年間約30億台湾元(約84億円)の増収をもたらすと予測される。

VW事務室」設置か

 三義工場は4月、同社としては珍しく9日間の長期稼動停止を行い、生産ラインの調整・拡充を行った。その際、台湾メディアでは、拡充は新たにVW車を生産することが目的との観測が出ていた。

 また裕隆の従業員によると、同期間に三義工場「391エリア」の一角に何の表示も出されていないオフィスが設置されたという。これは「VW事務室」で、最近外国人技術者が出入りしており、VWが派遣した人員とみられている。

 さらに従業員は、同工場エリア内では従来、日産車とLUXGEN(納智捷)車しか見かけなかったが、最近VW車を目にするようになったと証言しており、両社提携の発表は間近に迫っていると考えられる。

 ただ裕隆およびVWの台湾総代理、太古標達汽車は観測について、いずれも「ノーコメント」としている。

中国・東南ア輸出も視野に

 昨年、VWが台湾で自社工場を設置するとの観測が浮上したが、業界関係者によると、台湾は市場規模が小さく投資効果が低いことから、投資額を抑制しつつ台湾でのシェア拡大が狙える委託生産に方針を切り替えたという。

 またVWは、台湾生産車を今後中国や東南アジアに輸出することを視野に入れているもようだ。中国については、完成車が海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の関税引き下げ対象に含まれることを見込む。

 長期にわたってトヨタに水を開けられている東南アジアでは、VWは相次いで工場を設置しているが、裕隆への生産委託も同市場攻略の一環とされる。今後マレーシア工場では右ハンドル車、裕隆は左ハンドル車の生産を担うことになると工商時報は報じている。

多ブランド戦略が強みに

 17日付経済日報によると、台湾では本来、年に40万台以上の新車需要があるとされ、過去数年の低迷は金融危機などの影響で買い替えが先送りされてきたためとみられる。しかし、昨年は32万台まで増加したことから、業界では5年以内に40万台を回復するとの予測も出ている。

 こうした中、裕隆は多ブランドの受託生産戦略を進めることで生産規模を拡大し、利益獲得能力を高めることが可能になると同紙は指摘。特に今回ドイツメーカーからの受託が実現すれば、技術力向上も期待できるとしている。

【図】【表】