ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2011年5月18日_記事番号:T00030082
18日付経済日報によると、鉄鋼最大手、中国鋼鉄(CSC)がステンレス鋼への参入を計画している。実現した場合、燁聯鋼鉄(YUSCO)など業界他社への影響は必至で、各社はCSCの動向に高い関心を寄せている。(19日付工商時報によると、鄒若斉CSC董事長は同参入計画を否定した)
18日付経済日報によると、CSC幹部は進出計画について、「まだ案件は熟していないが、ステンレスだけでなく、他の特殊鋼も検討しており、進まなければならない道だと考えている」と発言した。そして、特殊合金材料について、1トン当たりの平均販売価格は炭素鋼の8〜10倍にも上り、製品ラインナップの強化、グループ全体の価値向上につながるとメリットを指摘した。防錆特性に優れるステンレスは、高コストである一方、販売単価も高いという特徴がある。
CSCによると、ステンレス生産は、子会社、中龍鋼鉄(ドラゴン・スチール)の電気炉で行う。同電気炉の年産能力は100万トン、最高130万トン。ステンレスを生産する場合、年産量は最低80万トンで、CSCが8%を出資する同分野大手、唐栄鉄工廠の約3倍の規模になる。
CSCの計画は蒋士宜・唐栄代理董事長が責任者で、既に数回にわたって社内報告を行っているという。CSCは10数年前にも転換炉でのステンレス生産を計画したが、高コストを嫌気して取りやめた経緯がある。
「業界再編の可能性も」
ステンレス業界の世界全体の生産量は年3,000万トンで、台湾では年産約100万トンのYUSCOが最大手だ。同社は中国広州に展開する広州聯衆不銹鋼を合わせると、合計年産量は200万トンを超える。華新麗華(WALSIN)、唐栄の年産量はそれぞれ30万トン前後だ。ステンレス各社の年間売上高は合計で1,000億台湾元(約2,800億円)に上る。
業界関係者は、CSCの動きはこれらのメーカーに重大な脅威を与えると指摘した。CSCの参入によって価格競争の激化は避けられず、鉄鋼業界の再編につながる可能性もあるとした。なお、CSCはYUSCOと同じ義聯集団(Eユナイテッド・グループ)の燁輝企業(YP)を最大の顧客としており、CSCのステンレス参入が鉄鋼2大グループの競合関係にどう影響するのか注目される。
YUSCOは反発
YUSCOの主管は「CSCの意図が理解できない。激烈な競争が繰り広げられているアジアのステンレス市場にCSCが加われば、状況がさらに混乱するだけで好ましくない」とコメントした。
WALSINは「ステンレス生産はそんなに簡単ではない」と指摘した。ステンレス鋼板類が世界的に深刻な供給過剰となっている中、各メーカーは対策が必要となっており、CSCは一定の取り組みを迫られるとの見方を示した。
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