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韓欧FTA、台湾産業界に脅威迫る


ニュース その他分野 作成日:2011年5月25日_記事番号:T00030227

韓欧FTA、台湾産業界に脅威迫る

 7月1日に迫った韓国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)発効を前に、中華民国対外貿易発展協会(外貿協会、TAITRA)は、多くの韓国製品がゼロ関税の恩恵を受けるため、台湾の競争力が低下すると懸念を表明。その上で、▽電機設備▽プラスチック▽自動車・二輪車▽機械設備▽鉄鋼──の、韓国と競合する5産業が脅威を受け、特に電機設備業への影響が最大との見方を示した。25日付経済日報などが報じた。

16〜55%コスト高に

 現在、台湾からEUへの輸出品にかかる関税率は韓国とほぼ同水準だが、韓欧FTAが発効すれば、機械設備、自動車・二輪車産業では94%の韓国製品が関税を免除されることになるなど、台湾から欧州への輸出は韓国に比べ関税コストが16〜55%高くなるとTAITRAは指摘した。

 なお、昨年台湾から欧州向けの輸出額が最大だったのは電機設備の144億8,200万米ドル、次いで機械設備の50億7,400万米ドルだった。影響が予想される5産業の昨年の欧州向け輸出額から推計すると、韓欧FTA発効により台湾は7,000億台湾元(約2,000億円)を超える規模の貿易市場にダメージを受けることになる。

 こうした状況に対しTAITRAの葉明水・副秘書長は、「台湾製品の輸出にとって非常に深刻な脅威となるとともに、外国企業の台湾誘致にも不利となる」との見方を示した。その上で台湾企業に対し、▽EU内での拠点設置▽新興市場の開拓加速▽中台間の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)を利用した統合・分業体制のメリット活用──を提言した。

石化団体「手遅れ回避を」

 各業界も危機感を募らせており、工作機械の業界団体、台湾区機器工業同業公会(TAMI)の王正青・総幹事は24日、業界にとって輸出市場における主要競争相手である韓国との価格競争でプレッシャーが高まると指摘。政府に対し「EUおよび米国、東南アジア諸国連合(ASEAN)とのFTAの早期締結を望む」と呼びかけた。

 一方、石油化学業界団体、台湾区塑膠原料工業同業公会(TSRMA)の洪福源理事長は、「台湾の石化製品の欧州向け輸出比重は低いため、韓欧FTA発効による影響は大きくない」との見方を示した。ただ、今後韓国は中国とのFTA締結に向けた動きを加速すると予測。これが実現すれば台湾の業界に深刻な影響が出るとして「石化製品のECFAアーリーハーベスト(早期の実施・解決項目)対象品目を速やかに拡大できるよう大陸(中国)との協議を再開しなければ、手遅れになる」と政府に提言した。

【表】