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可塑剤事件、コンビニがスポーツ飲料撤去


ニュース 食品 作成日:2011年5月26日_記事番号:T00030257

可塑剤事件、コンビニがスポーツ飲料撤去

 食品への添加が禁じられている有害可塑剤のフタル酸ビス(DEHP)を含む乳化剤が複数のスポーツドリンクから検出されたことを受け、コンビニエンスストア大手4社は25日、検査合格証明書が出るまでの処置としてスポーツドリンクを店頭から撤去した。台塩実業、金車集団(キングカー)、台湾比菲多食品も同日、この乳化剤使用の可能性がある食品・飲料を撤去した。売り場から姿を消した商品は同日までに62万点を超え、食品安全をめぐる事件としてはまれに見る規模となった。26日付蘋果日報などが報じた。


苗栗県政府は商品の撤去状況の実地調査を行い、販売店に消費者への返品・返金に応じるよう求めた(中央社)

 DEHPが検出されたのは昱伸香料(新北市中和区)の乳化剤で、行政院衛生署食品薬物管理局は同社の乳化剤が使用された商品を一律撤去、回収する方針だ。25日までに回収されたのは▽果汁・果汁粉末、2万キログラム▽スポーツドリンク、40万本▽プロバイオティクス粉末など健康食品、13万箱・3万パック──など。

 同社乳化剤が使われている可能性のある商品は、中国、米国、フィリピン、ベトナムにも輸出されており、衛生署は24日夜、世界保健機関(WHO)に報告を行った。

量販店も追随

 全家便利商店(台湾ファミリーマート)と萊爾富(ハイライフ)は、既に検査で安全が確認された黒松の「FIN」シリーズ以外のスポーツドリンクを、セブン−イレブンとOK超商(OKマート)はすべてのスポーツドリンクの販売を一時的に取りやめ、安全が確認できた商品から販売を再開する。

 量販店・スーパーマーケットは、愛買(aマート)が統一企業(ユニ・プレジデント)の「宝健(プロ・スウェット)」などスポーツドリンクを店頭から撤去した。家楽福(カルフール)、全聯福利中心は26日に対応を協議する。

「舒跑」「FIN」、安全を強調

 スポーツドリンク市場シェア7割の「舒跑」は、衛生署の検査に合格した台湾塩野香料の乳化剤を使用していると強調。黒松は、天然素材で作ったジャムを乳化剤の代わりに使っていると説明した。両社とも台湾SGS(台湾検験科技)のサンプル検査で、乳化剤が含まれていないことが確認されている。

 味全食品工業、コカ・コーラは、昱伸香料から乳化剤を仕入れていないと強調した。味全は果汁類に乳化剤を使っておらず、コカ・コーラは海外から原料を調達していると説明した。

罰金わずか30万元

 食品薬物管理局の蔡淑貞食品組長は、DEHPは摂取後12〜24時間で体外に排出されるため、過度に心配する必要はないと消費者に呼び掛けた。また、衛生署の調査で台湾全土21社の乳化剤業者のうち、問題があったのは1社だけだったと説明した。

 ただ、昱伸香料の責任者、頼俊傑容疑者は検察の事情聴取に対し、「18〜19歳で弟子入りした当時から、これ(可塑剤)を乳化剤に加えていた」と語り、業界の公然の秘密だった可能性もある。同社は乳化剤にパーム油の代わりにコストが5分の1の可塑剤を使用し、価格の安さで業界最大手の地位を長期にわたって維持してきたと中国時報は指摘した。ただ現行の食品衛生管理法では、同社に科される罰金は最高でも30万台湾元(約85万円)にすぎない。