ニュース 建設 作成日:2011年5月27日_記事番号:T00030288
台北市の松山たばこ工場跡を予定地とする台北体育文化園区室内体育館(台北ドーム)の建設計画が26日、難航していた環境影響評価が審査を通過した。開発に向けた最後の難関がクリアされたものの、商業施設の延べ床面積17.4%削減を含む条件付きとなり、BOT(建設、運営、譲渡)契約に基づいて開発を行う遠雄企業集団(ファーグローリー)にとって全面的には歓迎できない内容となった。27日付工商時報などが報じた。
台北ドーム建設予定地。当初計画から18年、今度こそ着工が実現するのか(27日=YSN)
遠雄は280億台湾元(約790億円)を投じ、野球などの試合ができる大型室内多目的施設や、ホテル、商業施設、映画館などを建設する計画で、2006年10月に台北市とBOT契約を結んだ。しかし、その後市が環境影響評価のやり直しを決めるなど手続きが進まず、着工が大幅に遅れている。今回は遠雄が昨年見直しを行った建設計画が審査の対象となった。
同計画に対し市環境影響評価委員会は26日、開発面積が大きすぎ、周辺の交通に悪影響を与えることなどを理由に、▽商業施設など付属事業の開発面積を24万5,355平方メートルから20万2,610平方メートルに17.4%削減する▽駐車場面積として18万平方メートルを回復する▽台北ドームの面する忠孝東路を、敷地内で1車線増設する──などの条件を付け、その上で環境審査を通過させた。
遠雄はこれにより、同委員会の要求に従って開発計画を再修正して、改めて市都市設計審議委員会に提出し、市建築管理処に建設許可を申請することが必要となった。申請が認められれば、遅くとも今年末に着工でき、早ければ2014年末までに台湾初の野球の試合が開催可能な大型ドームが誕生する。
遠雄「再検討が必要」
環境評価委員会の決定に対し、遠雄の蔡宗易・公共事務室副総経理は、「環境影響評価審査を通過したのはうれしいこと」とコメントしつつも、商業施設の開発面積削減が必要とされたことについては、BOT契約の条件に合うか、社内で改めて検討が必要との考えを示した。
27日付自由時報によると、商業施設は最も収益を上げられる部門として期待が寄せられていた。原案通り認められた場合で損益均衡、悪ければ年間2億元余りの赤字を出すと予想していたため、「17%削減」によりBOT契約で運営する50年間、赤字状態が続くことは確実と同紙は指摘した。また、聯合報は「17%削減」の影響について、「太平洋崇光百貨(太平洋そごう)忠孝館1店分」に当たる「140億元」の売上減と報じた。
自由時報によると、遠雄の選択肢は▽違約金を払ってBOT契約を解消する▽メンツ重視で50年の損失に耐える──の2つで、いずれにしても痛みを伴う選択となるようだ。
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