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トンカツ揚げるのはもうイヤ!ムスリム労働者が交番に駆け込む


ニュース 社会 作成日:2011年5月31日_記事番号:T00030318

トンカツ揚げるのはもうイヤ!ムスリム労働者が交番に駆け込む

 「トンカツを揚げるのはもうイヤ!」今月11日午前2時すぎ、嘉義市の派出所に駆け込んできた1人のインドネシア女性が、目に涙を浮かべながら、たどたどしい中国語で訴えた。彼女は27歳、昨年1月から台湾に出稼ぎに来ている、いわゆる「外労」(外国人労働者)だった。

 東南アジアから台湾に出稼ぎに来る人は多く、このインドネシア人女性も仲介業者を通じ、介護人として働く名目で台湾に来た。ところが実際には、雇い主が営む屋台で、毎日早朝2時から夜8時まで1日18時間の過酷な労働を強いられていた。

 しかし彼女が長時間労働よりも耐えられなかったのは、命じられたのが豚肉の処理やトンカツ、スペアリブなどを揚げる仕事だったことだ。敬虔(けいけん)なイスラム教徒(ムスリム)である彼女にとって、不浄とされる豚肉と接する日々はどんなにつらかったことだろう。

 しかし、雇い主から「おとなしく言うことを聞かないと国へ送り返すぞ」と脅された上、パスポートを取り上げられ、給料も差し押さえられていたため、耐えるしかなかった。電話で何度も仲介業者に訴えたが、「3年たたないと雇用主を替えることはできない」と取り合ってもらえなかったという。

 送り迎えも雇い主がするなど監視の目が厳しかったため、屋台から目と鼻の先に派出所があるにもかかわらず、1年以上通報することができなかったが、今回とうとうすきを見て逃げ出すことに成功したというわけだ。

 警察の調べに対し雇い主は、「彼女にはいつもおばあちゃんの世話をさせている。ここ2日ほど店が忙しいので手伝わせた」などと弁明したが、これを聞いた当の彼女は「おばあちゃんなんていない」と暴露。雇い主は仲介業者とともに、人身売買罪で書類送検に。くだんの彼女は、外国人保護センターへ移送され、ようやく苦しい日々から抜け出せた。