ニュース 電子 作成日:2011年6月2日_記事番号:T00030405
宏碁(エイサー)は1日、欧州事業における販売店での在庫過剰や売掛金未回収問題を代金の値引きで解決するため、1億5,000万米ドルの損失引当金の計上を董事会で決めた。これにより同社の第2四半期業績は、2001年以来の本業赤字に転落する可能性が高まった。同社は3期連続の業績予測下方修正など、最近の一連の経営問題は欧州事業に根本的な原因があるとしており、現地で15%に当たる300人の人員削減など組織再編を行うことで立て直しを図る。2日付工商時報などが報じた。
フォワーダー倉庫に大量在庫
エイサーによると、ジャンフランコ・ランチ前執行長(CEO)の辞任後、新たな経営陣が欧州事業の内部監査を行った際、現地販売業者の在庫約90日分、4,200万米ドル相当が貨物フォワーダーの倉庫に眠っていることが発見され、さらにスペインの小売業者の在庫および売掛金未回収額が異常に高い状況にあることが確認されたという。
王振堂・同社董事長はこれらの状況について、「過去の『ゼロ在庫』方式の経営モデルが引き起こした弊害だ」と指摘。今後、欧州事業の管理体制を見直すと表明した。また、世界各地の従業員に対し「在庫問題の発生は、社内の権限付与や監督体制に改善の余地があることを示す」としたメールを送付し、今後あらゆる管理職を対象に監査を実施する方針を示した。
董事会では同時に、昨年度分の役員報酬50%カット、および従業員の特別賞与40%縮小を株主総会で提案することも決めた。
エイサーの決定について証券業界では、「早くから予想されたことで意外ではない」との反応が多数を占めた。ただ、「最重要市場である欧州での問題発生で、新たな経営体制の構築に時間がかかるのではないか」、「毎月のように新たな問題点が明らかになる中、『まだ他にもあるのではないか』との疑念を招く」、「研究開発(R&D)の重要性が増す中、賞与の大幅カットは人材流出を招くのではないか」などの懸念も出ている。
「ランチ神話」崩壊
なお同日付経済日報は、今回欧州事業の問題点が明るみに出たことで、過去6年間、経営のかじとりを担い、「台湾の光」と賞賛されるまでに同社を発展させたランチ前CEOによる負の遺産だとする証券会社の見方を伝え、「ランチ神話が瞬時に崩壊した」と指摘した。同紙はランチ前CEOの経営手法について、「次々に設定目標を引き上げ、厳しく達成を求めたことが、結局は在庫問題につながった」と分析した。
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