ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

反共スローガン残る緑島、中国が観光封殺


ニュース 社会 作成日:2011年6月8日_記事番号:T00030469

反共スローガン残る緑島、中国が観光封殺

 台東県沖に浮かぶ緑島は、面積約16平方キロメートルの火山島だ。今では夏のリゾート地として有名だが、中国政府は「できれば行かない方がよい観光地」に指定しており、地元観光産業に痛手となっていることが分かった。

 緑島が中国政府に「封殺」されている理由は、「政治色が濃過ぎる」というもので、島に残された反共スローガンが反感を買っているのだ。例えば、かつて白色テロ時代に政治犯・思想犯が収監されていた監獄「緑洲山荘」脇の崖には、今なお「滅共復国(共産党を消滅させ、国を復興させよう)」というスローガンが刻まれたままだ。

 台東旅行同業公会によると、緑島を訪れるのは中国人ツアー全体の1%以下と少ない。しかも視察目的に限られ、一般の観光ツアーは皆無だという。同会は中国の敬遠を解くため、スローガンの上に植物を植えて隠す方法を提案している。また台東県政府は、これらスローガンは中台共同の歴史だと強調し、神経質にならないよう中国側に呼びかけている。

 一方、台湾を訪れる中国人観光客にとってはもの珍しいようで、こうしたスローガンの残るエリアは人気の撮影スポットとなっている。ただ、かつて国共内戦の最前線だった金門島などでも政治的スローガンの多くは既に除去されており、現在中国人客がスローガンを目にすることのできるチャンスは少ない。

 そんな中、政治スローガンが最も多く残っているのは、「馬祖の地中海」と呼ばれる景色の良さで知られる連江県北竿郷芹壁村。国共内戦をテーマにした映画のロケ地にもなったこの村では、「解救大陸同胞(大陸の同胞を解放し救おう)」「蒋総統万歳」など、ほとんどすべての建物にスローガンが残されており、記念撮影をする中国人観光客があとを絶たないという。

 台湾では、今月末にも中国人の自由旅行が一部解禁される。スケジュールを管理されない自由旅行が拡大すれば、より多くの中国人観光客がこうした国共内戦時代の遺物を目にする機会も増えるだろう。