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鴻海、ノート撤退を完全否定


ニュース 電子 作成日:2011年6月9日_記事番号:T00030531

鴻海、ノート撤退を完全否定

 EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長は8日、ノートパソコン受託事業からの撤退はあり得ないと市場観測を否定した。また、2012年始動の5カ年計画を初めて公表し、ノートPC関連を含む製造事業をはじめ、▽太陽電池などエネルギー▽光学製品▽工業用クラウドコンピューティング▽スマートグリッド(次世代送電網)──への注力を掲げた。同社業績は今年で底を打ち、2012年が実りの年になると強気の見方も示した。9日付工商時報などが報じた。


郭台銘董事長は今年も最低15〜30%の増収は手堅いと語った(8日=ワイズリサーチ)

 郭董事長がノートPC事業の堅持を表明したのは、ノートPC受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理が先日、EMS世界上位2社に撤退の可能性があると語ったためだ。郭董事長は、世界で2社しか生き残れないとしても、鴻海はそのうち1社に含まれると不退転の意志を強調した。この理由として、グループ内に液晶パネル、タッチパネルなど重要部品のメーカーをほぼ網羅する優位性を挙げた。

「現代的な精密製造業を追求」

 5カ年計画のうち、筆頭に挙げた製造事業では、日米企業が製造業務を手放す中、単なる受託生産業ではなく現代的な精密製造業として、合理化、自動化、無人化を進める方針だ。

 エネルギー事業については、太陽電池参入は選択肢の一つにすぎないが、計画に2年をかけ人材もそろっており、今年中に必ず実現させると語った。今年1月、太陽電池の益通光能科技(イートン・ソーラーテック)の筆頭株主となる計画が頓挫しており、資金の後ろ盾のない新日光能源(ネオソーラーパワー)が新たなターゲットと市場で観測されている。

 光学事業は、レンズから次世代ディスプレイ、タッチパネルへと範囲を拡大しており、日本の大手メーカーと提携交渉中だ。クラウドコンピューティングは、現在サーバーで世界市場の65%を占めている優位を生かし、コンテナサーバーや特許関連のサービスを検討している。スマートグリッドでは、関連製品の需要が2〜3年以内に高まると好感している。

中国人材定着に成果

 鴻海は8日開催の株主総会で10年業績を発表。連結売上高は前年比52.9%増の2兆9,970億台湾元(約8兆3,600億円)、純利益が同1.9%増の771億5,400万元となった。

 郭董事長は及第点ぎりぎりの60点と自己評価した。昨年は中国工場で12人に上る自殺者を出したが、同年10月の基本給引き上げが奏功し、中小企業が労働力不足に直面する中、今や人材を選べるほどだと語った。人材定着と中国内陸部への工場移転の効果が今後1〜2四半期以内に現れ始めるとみており、今年下半期は確約できないが、来年には必ず成果が出ると強調した。