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「ウィンテル時代終わった」=ASUS董事長


ニュース 電子 作成日:2011年6月10日_記事番号:T00030560

「ウィンテル時代終わった」=ASUS董事長

 華碩電脳(ASUS)の施崇棠董事長は9日、パソコン市場でウィンドウズOSとインテルのCPU(中央演算処理装置)を組み合わせた「ウィンテル」製品の時代が既に過ぎ去ったと発言した。台湾の大手IT(情報技術)企業のトップからこうした認識が明確に示されたのは初めて。施董事長はその上で、新たな秩序の中での勝ち残りに意欲を示した。10日付電子時報が報じた。


株主の質問に答える施崇棠董事長。好業績への期待から最近株価が会社分割以降の最高値を記録した(9日=中央社)

 「ウィンテル」がかつての独占的な地位から滑り落ちたのは、アップルの隆盛、タブレット型PCの人気化、スマートフォンの普及によるところが大きい。特にタブレットPCはアップルがほぼ一人勝ちの勢いで、その対抗機種はOSにグーグルのアンドロイド、プラットフォームにARMアーキテクチャを採用するのが一般的だ。今月発売されるグーグルのクロームOSノートにも注目が集まっている。施董事長は「もはやインテル、マイクロソフトが圧倒的な発言力を持つ状況ではない」と付け加えた。

 ノートPC業界の関係者によると、従来PCメーカーは、新旧プラットフォームの転換や、製品在庫の管理、製品の基本設計にいたるまで、すべて『ウィンテル』の言いなりで、製品の差別化も困難、価格交渉力も薄弱だった。ノートPC1台を売った利益の半分以上は「ウィンテル」に渡り、PCメーカーはマーケティング費用を含めたコスト負担により薄利を余儀なくされていたという。

 施董事長は「ウィンテル」衰退の意味について、「長期にわたって支配権を得られなかったPCメーカーに全く新たなチャンスが訪れる」と指摘した。現在は新たな秩序が形成される前の段階で、「設計でイノベーション、技術を完全に展開できる研究開発(R&D)の実力を持ち、消費者が何を求めているかを理解できるメーカーが今後をリードできる」と強調。ASUSはアップルとソニーを参考に、ノートPC、タブレットPC、スマートフォンの境界があいまいになる時代において存在感を示すことができると意気込みを語った。

タブレット市場に自信

 タブレットPC市場は現在、ブランド各社が相次いでアップル「iPad」への対抗製品を投入したものの、アプリケーションの少なさもあって、出荷目標の下方修正が相次いでいる。こうした中、施董事長は「ASUSは唯一、上方修正ができる企業だ」と自信を示した。

 キーボードが着脱可能で人気の「トランスフォーマー」は6月出荷台が30万台に到達し、同社売上構成比の10%を超えることは確実な見通しだ。通年では200万台の目標を順調に達成し、それ以上となる可能性もある。

 これに対し、iPadを含むタブレットPC市場で15〜20%のシェアを取ると宣言、5,000万台の市場規模から750万〜1,000万台が目標ラインとみられていた宏碁(エイサー)は、その2カ月後に目標台数を「500万台」とした。しかも、部品業者によると同社のタブレットPCの売れ行きは期待ほどではなく、500万台の達成はかなり厳しいという。

 また、モトローラが2〜4月に25万台を販売したと発表したタブレットPC「Xoom」は、部品業者によると6月末段階でも出荷台数は50万台を下回り、実際の販売台数はこれよりもさらに低くなる見通しだ。

 サムスンはアンドロイド3.1の登場後に「Galaxy Tab 10.1」を投入する予定だが、通年目標の750万台は極めて困難とみられる。宏達国際電子(HTC)の「Flyer」も売れ行きは月並みなようだ。

昨年業績は90点

 施董事長は昨年の同社業績について、「90点」という高い点数を付けた。初の四半期赤字を記録した2008年と翌09年の2年間で創業以来最大の挫折を味わったとしつつ、謙虚な姿勢で企業の体質改善を成し遂げ、製品、マーケティング、サプライチェーンの管理など、各方面において驚くべき進化を遂げたと自画自賛した。