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中国人の自由旅行、28日解禁


ニュース 商業・サービス 作成日:2011年6月13日_記事番号:T00030588

中国人の自由旅行、28日解禁

 中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の王毅主任は12日、アモイで開催された「海峡論壇(中台フォーラム)」で、中国人の台湾自由旅行を6月28日に解禁すると発表した。北京、上海、アモイ住民が対象となる以外の詳細内容は明らかとなっていないものの、旅行業者からは年間180億台湾元(約500億円)を超える商機がもたらされると期待感が示された。ただ一方で、中国人の不法滞在による就業への影響、治安悪化、観光地としての品質低下などを懸念する声も上がっている。13日付蘋果日報などが報じた。


中青旅のサイトには早くも台湾自由旅行特設コーナーが設けられた(同社HPより)

問い合わせ殺到

 中国では台湾自由旅行に対する関心が高まっており、既に28日からの台湾自由旅行「百変台北」(5泊6日)の予約受付を開始した旅行会社、中青旅(CYTS)は「6月に入り、台湾自由旅行に関する問い合わせが倍増した」としている。同社サイトには先週10日の時点で5,600人以上の「順番待ち」ができているという。

各県市が誘致計画積極化

 自由旅行解禁による商機について中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会)は、中国人旅行者の1日の消費額を約1万4,346元、平均7日間滞在するとして、年間商機は183億元と試算している。一方交通部観光局は、1日の消費額を245米ドル、7〜15日滞在するとして91億〜195億元の商機をもたらすと見込む。

 自由旅行解禁がもたらす商機を好感し、各地方自治体は中国人旅行客に対する優遇措置を打ち出す構えだ。台北市は32店でのショッピングで最大5割引が受けられる「タイペイ・パス」を発行。新北市はレンタカー業者、台湾租車旅遊集団と提携して中国人観光客誘致に乗り出し、台中市は先着1,000人を対象に2泊すれば1泊無料となるプランを計画している。苗栗県も1
泊する旅行者1人につき500元の補助金を旅行社に支給する考えだ。

 このほか、民間業者も簡体字の表示を作成したり、店員に中国特有の用語の訓練を施すなど準備を進めている。

一方的発表に反発も

 今回、中台間の合意事項は双方の準備が整った時点で同時に発表するという従来の慣例を破り、中国が一方的に自由旅行解禁を宣言した。専門家はこれについて「北京は中台交渉で主導権を握り、『中国がイエスと言えば決まる』と印象づけたいと考えている」と分析。野党民進党からは「統一に向けた戦略的意味合いが強い」との指摘も出た。

台胞証、申請費用半額へ

 なお王毅・国台弁主任は同日、台湾人が中国に渡航する際の旅券に相当する「台湾居民来往大陸通行証」(通称・台胞証)の申請費用を半額に引き下げることも発表した。年間延べ500万人以上が恩恵を受けることになる。

【図】