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高鉄の余命10年?地盤沈下が深刻


ニュース 運輸 作成日:2011年6月14日_記事番号:T00030619

高鉄の余命10年?地盤沈下が深刻

 行政院公共工程委員会(工程会)の李鴻源主任委員は13日、台湾高速鉄路(高鉄)沿線の地盤沈下深刻化に関し、「地下水取水問題が解決しなければ、高鉄は10年持たない」との政府認識を初めて示した。彰化県、雲林県の地盤沈下は毎年7〜8センチメートルと推定され、対策は急務となる。今後2カ月以内に両県の水資源利用に関する全体計画をまとめた上で、取り組みを進める方針だ。14日付中国時報などが報じた。


李鴻源・工程会主委(右3)は13日、蘇治芬・雲林県長(中央)らとともに地盤沈下の現状を視察した。蘇県長も抜本的な取り組みを進める考えを強調した(13日=中央社)

 台湾初で最大のBOT(建設、運営、譲渡)プロジェクトとして5,000億台湾元(約1兆4,000億円)が投じられ2007年に開通した高鉄は、かねてから農家による地下水くみ上げが原因とみられる地盤沈下の影響が指摘されてきた。

 高鉄の報告書によると、雲林県の地盤沈下を受け、4月に78号快速道路との交差部にかかる線路高架の支柱の補強工事を完了し、地盤沈下による変形が1,500分の1.19から1,500分の0.66に改善、警戒値の1,500分の1を下回った。現在も高架橋の構造補強など第2段階の工事を進めている。

 これに対し李・工程会主委は、こうした工事は根本的な問題解決にはならず、10年後に再び警戒値を超える恐れがあると警告した。

井戸閉鎖も効果限定的

 交通部高速鉄路工程局の胡湘麟副局長は、水道公社の台湾自来水公司(台水)が今月初めまでに高鉄沿線3キロメートル以内で、地盤沈下の原因とされる深井戸を水利組合、農田水利会聯合会以外のものはすべて閉鎖したと説明した。また、かんがい用の浅井戸は閉鎖すると農家の生計に大きな影響を及ぼすため、現時点で地方政府は閉鎖を強制していないという。

 一方、李・工程会主委は、農家の地下水取水が当初は地盤沈下の根源とみられていたが、井戸の大部分を閉鎖しても効果は限定的だったと指摘し、治水対策の全面的な見直しが必要であることを強調した。