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増える簡体字表記、政府やんわり「必要ない」


ニュース 社会 作成日:2011年6月15日_記事番号:T00030621

増える簡体字表記、政府やんわり「必要ない」

 現在、台湾では繁体字が、中国では簡体字がそれぞれ使用されているのは周知の通り。ここ数年、中国人観光客の増加に伴い、台湾でも観光地を中心に簡体字を目にすることが多くなった。行政院は14日、「看板や商品の説明、メニューなどを簡体字で表記する必要はない」とし、なるべく繁体字を使用するよう呼びかける声明を発表した。

 中国人の台湾旅行は2008年に解禁されたが、これまで政府は観光地やホテル、商店などでの簡体字表記に対して干渉しない態度を取ってきた。

 しかし今月28日に決まった、中国人の台湾自由旅行解禁がスタートすると、中国人観光客商機を狙う業者が、こぞって簡体字を使い出すことは目に見えている。こうした状況に対し、台北市長時代から繁体字の普及に熱心で、繁体字の世界遺産登録も提唱している馬英九総統が待ったをかけたとみられる。

 行政院の楊永明報道官は、中国客が台湾を訪れる目的のひとつは、台湾独自の文化や人情などを体験することだと強調。従って、むしろ繁体字のままの方が中国人観光客には歓迎されるはずだと述べている。

 とはいえ中国人観光客からは「40〜50代の中国人なら8割方の繁体字は理解できるが、30代以下の人はダメ。簡体字の方がいい」、「英語や日本語はOKなのに、なぜ簡体字だけだめなの?」などの声も。また観光地では英、日、中(繁体字、簡体字)といった多言語で案内を表示するケースも多い。これは「お客さまを尊重する」ためだけでなく、トラブルの発生を防ぐためでもあるそうだ。

 ただ、政府上層部の意思とは裏腹に、日月潭風景区管理処(南投県)など観光地関連の公的機関ホームページや、観光案内の印刷物の多くでも「簡体字版」が用意されており、今後、台湾で簡体字を目にする機会が増えることは間違いなさそうだ。