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台塑化が下半期悲観、中国インフレ注視


ニュース 石油・化学 作成日:2011年6月17日_記事番号:T00030708

台塑化が下半期悲観、中国インフレ注視

 台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)の王文潮董事長は16日、石油化学市場の下半期景気は「非常に悪い」との見通しを示した。下半期景気への悲観論はハイテク業界にとどまらず、台塑石化をはじめ、セメント、紡織、海運など従来型産業の主要企業からも相次いでいる。17日付経済日報などが報じた。


台プラグループは王文淵総裁も、下半期景気への厳しい見方では王文潮・台塑化董事長と同様だ(15日=中央社)

 王文潮・台塑石化董事長は、中国の金融引き締め政策がうまくいかなければ、石化業界は第3四半期後半にも苦境に直面すると語った。これについて台塑集団(台湾プラスチックグループ)主管は、中国が発表しているインフレ率が3.5%前後で当初目標を超えているため金融引き締め政策は継続が予想され、これにより中国の川下メーカーの購買意欲が冷え込み、原料に対する需要が落ち込むと説明した。

 王董事長はまた、シンガポールとの国際競争を懸念していると語った。シンガポールは製油量が台湾と同規模で、エチレン生産能力は現在の280万トンから380万トンへの増強が見込まれ、台湾の400万トンに近づく見通しだ。地理的優位性もあり、中東からの原料輸送も東南アジア各地への石化製品輸出も台湾よりコストが低いと指摘した。特に、北東アジア市場が飽和状態で東南アジア市場への販売が中心となる中、台湾は東南アジア諸国連合(ASEAN)に未加盟のため、孤立する恐れがあると語った。

ばら積み貨物、14年まで悲観

 他の従来型産業では、嘉新水泥(嘉新セメント)の張永平董事長が、中国でセメント価格の高騰が続けば、下半期には買い手の購買力に悪影響を与えると懸念を示した。

 台南紡織(台南スピニング)の鄭高輝董事長は、ニューヨークの綿花先物価格が3月の1ポンド当たり214セントから先ごろ145セントまで下落した国際相場急落を受け、川下に模様眺めムードが強いと指摘。紡織業界の第3四半期景気はあまり良くないとの予測を示した。ただ第4四半期にスポット価格が上昇すれば、景気が上向く可能性もあると語った。

 中国航運(チャイニーズ・マリタイム・トランスポート)の彭蔭剛董事長は、市場の供給過剰が深刻なことから、ばら積み貨物市場を慎重視しており、海運業界の景気回復は早くても2014年との見方だ。

株価急落、先週から約5%

 企業の株主総会で悲観見通しが相次ぎ、台湾株式市場の加権指数は16日、一気に前日比177.02ポイント(2.00%)下落し、8,654.43ポイントで引けた。17日は前日比18.33ポイント(0.21%)下落の8,636.10ポイントで、先週の終値で最高だった7日(9,057.10ポイント)からの下落幅は4.8%となった。