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AUO・奇美電、業績回復の遅れ確実


ニュース 電子 作成日:2011年6月21日_記事番号:T00030766

AUO・奇美電、業績回復の遅れ確実

 液晶パネル価格が6月下旬に上昇しない見通しとなり、友達光電(AUO)、奇美電子(チーメイ・イノルックス)の業界大手2社は、第2四半期も赤字状態から脱却できず、業績回復にさらなる遅れが出る可能性が強まっている。今回の液晶パネル価格の反転上昇は6月上旬までのわずか2カ月間で、上昇幅も小さく、多くの製品が依然コスト割れとなる頭の痛い状況は改善されていない。21日付経済日報などが報じた。

 液晶パネル価格の不振は、液晶テレビの需要が期待を下回っていることが原因だ。市場調査会社、ディスプレイサーチはこのほど、今年の液晶テレビの世界市場での出荷台数予測を2億1,049万台へと、従来予測から600万台下方修正した。市場別では北米市場で当初予測の4,050万台から3,930万台に、欧州市場で6,134万台から5,629万台への引き下げで、欧米市場の需要回復ペースに厳しい見方をしている。中国の液晶テレビ需要は悪くないものの、世界のパネル市場の需要の70〜80%は欧米市場が占めるため、中国市場だけでは全体を支えることはできないとの見方も業界関係者より示された。

 ディスプレイサーチはまた、発光ダイオード(LED)光源採用のハイエンドテレビ出荷台数も、1億台から9,889万台に下方修正した。こうした状況の下、6月下旬に液晶パネル価格が上昇する望みはなくなったとしている。

 業績回復には時間がかかるとの見方が支配的となり、AUOの株価は20日、5.12%下落の19.45台湾元(約54円)と、08年11月以来の最低を記録。奇美電もストップ安の23.75元で、ともに金融危機発生後の水準まで下げた。

年休取得を強制か

 同日付経済日報は、AUO、奇美電が設備稼働率を引き下げ、現場の作業員に強制的に年次有給休暇を取らせているとの市場観測を伝えた。同紙は、この時期にこうした措置を取ることは極めて珍しく、事実とすれば今年のハイシーズン効果が後にずれ込む懸念があると指摘した。

 業界関係者によると、AUOや奇美電の稼働率は依然90〜95%の高水準を維持していたが、先週末、突然80〜85%への平均10ポイントの引き下げを決定した。製品別の稼働率引き下げ幅は、液晶テレビ用で10ポイント、パソコン用で30ポイントとされる。これにより既に従業員に順次休暇を取らせているという。ただ、観測についてAUO、奇美電いずれからも確認は取れていない。

 2社の稼働率引き下げが事実とすれば、バックライト、駆動IC、光学フィルム、プリント基板(PCB)などサプライチェーンでは、第3四半期の出荷が見通しを下回るだけでなく、2社からの値下げ要求によっても利益に悪影響を受ける恐れがあると同紙は指摘した。

【図】