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アップルで明暗、上半期の電子業界


ニュース 電子 作成日:2011年7月11日_記事番号:T00031170

アップルで明暗、上半期の電子業界

 電子業界は上半期、「iPhone」「iPad」のアップル製品に部品を供給する関連メーカーが単月や四半期ベースで過去最高売上高を更新し、顕著な好調ぶりを見せた。一方、アップルの恩恵にあずかれないために業績が落ち込むメーカーもあり、明暗がはっきり分かれる傾向にある。11日付工商時報が報じた。

 最も勢いが目立つのはアップル製品にタッチパネルを供給している宸鴻集団(TPKホールディング)で、第2四半期売上高は前期比28.4%増の325億2,500万台湾元(約910億円)で過去最高となった。下半期はiPhoneとiPadの新モデル発売が見込まれるため、証券会社は、同社の今年の通年売上高は前年比倍増の1,300億元となり、粗利益率は同業者との競争のため小幅な縮小となるものの、通年の1株当たり利益(EPS)は52元に届く可能性もあるとみている。

 TPKに続くのが▽大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽玉晶光電(ジニアス・エレクトリック・オプティカル)▽新普科技(シンプロ・テクノロジー)▽瑞儀光電(ラディアント・オプトエレクトロニクス)▽可成科技(キャッチャー・テクノロジー)──の企業群で、証券会社は通年で資本金に相当する利益を挙げる可能性もあるとみている。

 ラーガンは4月以降、過去最高売上高の更新が続いており、証券会社は上半期利益額は資本金の3倍に上った可能性もあるとみている。同社は宏達国際電子(HTC)、リサーチ・イン・モーション(RIM)、ノキアなどにもデジタルカメラ用レンズを供給しており、下半期は携帯電話の需要期に入ることからさらなる業績の伸びが期待できる。デジカメ用レンズの同業ジニアスは、iPhoneの新モデル向けの受注を獲得できるかが下半期の業績を左右しそうだ。

 iPadのバックライトモジュールを製造するラディアントは、第2四半期連結売上高が前期比14.4%増の173億9,500万元で過去最高となった。iPadへの電池モジュール供給で65%を占めるシンプロは、6月売上高が42億1,700万元で、4カ月連続で過去最高を更新。金属フレームのキャッチャーは6月売上高が初めて30億元台に乗った。

IC設計、「金融危機より悲惨」

 一方、「非アップル」で振るわない代表的な業界がIC設計で、今年は「山寨機(さんさいき)」と呼ばれる大手ブランドに類似した携帯電話などの製品市場や液晶テレビ市場が不調で、またアップルが大手IC設計業者の製品を大量採用しているため、聯発科技(メディアテック)、Mスター、立錡科技(リッチテック・テクノロジー)の3社が通年で資本金相当の利益を上げる可能性があるものの、業界全体では「金融危機当時よりも悲惨」と言われている。

 タッチパネルメーカーでも「非アップル」の洋華光電(ヤング・ファスト・オプトエレクトロニクス)は、昨年通年の1株当たり利益が19.7元だったのに対し、今年第1四半期は1.96元まで落ち込み、「リンゴを食べられない」苦痛を味わわされている。

iPhoneシリーズ、Q4に4千万台も

 マーキュリー・キャピタル証券は10日、iPhoneの新モデル(iPhone4S)が予定通り9月に発売されれば、既存のiPhone3S、 iPhone4は同時に値下げされ、これによりiPhoneシリーズの出荷台数は、第2四半期の2,000万台から第3四半期は2,600万〜2,700万台、第4四半期は4,000万台へと拡大するとの予測を示した。同社の張博淇・台湾区研究部主管はその上で、鴻海精密工業や和碩聯合科技(ペガトロン)、Mスター、ラーガンなどの株式を強く推奨するとした。

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