ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

コンパル、東芝のメキシコ液晶TV工場買収


ニュース 電子 作成日:2011年7月14日_記事番号:T00031257

コンパル、東芝のメキシコ液晶TV工場買収

 仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は13日、東芝のメキシコ・フアレス市の液晶テレビ組立工場の買収を発表した。台湾受託メーカーによる日系ブランド大手からの液晶テレビ工場買収は、鴻海科技集団(フォックスコン)とソニーのケースに続くもので、14日付工商時報は、サムスン電子、LGエレクトロニクスの韓国勢に対抗する日台連合の新たな強化事例だと指摘した。

 コンパルは企業秘密に属するとして買収額を公表しなかったが、証券会社は約2億米ドルと推測している。第3四半期中に工場の所有権を移転する予定だ。コンパルは従来より、東芝から液晶テレビの委託生産分のうち金額ベースで5割以上を請け負う密接な関係にある。

 受託生産企業にとってブランド企業の工場買収は、安定した受注を確保する強みを生む。最も積極的なのは鴻海で、2003年に約100億台湾元(約270億円)でモトローラのメキシコ・チワワ工場を買収して以降、ヒューレット・パッカード(HP)、デル、ソニー、ノキアなどの工場を買収し、業績成長の基盤となってきた。受託生産業界全体が粗利益率の低下に見舞われる中、工場買収のメリットはより大きなものになっている。

 東芝にとっても、工場売却は自社製比率を引き下げて生産委託を拡大する方向性に合致したもので、今回の取引は双方にとって「ウィンウィン」と言える。

 なお、メキシコでの生産には、北米自由貿易協定(FTA)によってゼロ関税で米国に製品を輸出できる利点がある。

液晶テレビ、今年800万台へ

 コンパルは昨年、売上高の92%をノートパソコンが占め、液晶テレビは8%にすぎなかった。今年の製品別売上構成比の目標は、ノートPC85%、液晶テレビ10%、タブレットPC5%だ。液晶テレビの出荷台数は、昨年の330万台から、今年は800万台の倍増以上を狙う。このうち東芝ブランドは200万台以上が見込まれる。

 東芝は昨年、液晶テレビの出荷台数が約1,000万台に上った。今年は1,500万台、来年は3,000万台が目標だが、最近の景気動向に応じて3〜5%の下方修正を行っている。

 なお、緯創資通(ウィストロン)、和碩聯合科技(ペガトロン)も東芝から液晶テレビを受注している。コンパルと東芝のさらなる関係緊密化はウィストロンにとって不利とみられる一方、今回買収対象となったメキシコ工場は北米市場向けのため、主に欧州向け製品を受託しているペガトロンにとっては、当面の影響は小さいと予想される。

【表】