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作成日:2007年10月15日_記事番号:T00003131
「統独の社会分岐、併合の温床に」、李前総統が危機感
李登輝前総統は13日、台湾政局の現状について、「民進党と国民党の『統一・独立2党制』になっている。統一・独立の政治テーマで選挙を動かす結果、台湾に修復不可能な傷が生まれており、国家アイデンティティの分裂が深まっている。このことが逆に中国に対し統一戦略の温床を提供しており、『統独2党制』が長引くほど、最終的に統一されてしまう危険性が高まる」という危機感を語った。
李前総統の発言は、自身が主宰するシンクタンク「群策会」が開催したフォーラム「挑戦2008、正常な国家へ邁進」でのもの。李前総統は民進党の現状にについて、「政治的業績が悪く、官僚の汚職が頻発した。外交を選挙のテーマに使って民衆の不満と失望を買い、総統選挙の党内予備選から『正常国家決議文』決定までの内紛で声望が大いに傷ついた。来年1月の立法委員選挙の国民党との対決で驚くほど惨敗するかもしれない。本土政権の存亡は深刻な危機にある」という見方を示した。
その上で、来年の総統選挙について、「中国の意中の人物が立候補しており、この候補者が勝てば逆転不可能な統一への流れが作られ、台湾は彼らの作り上げる統一への青写真から逃れられなくなる」と指摘した。
李前総統はさらに、「民進党は選挙戦略として、これまで自身と本土政権をイコールで結んできた。台湾主体意識を堅持する者は、民進党の枠組みから抜け出して、台湾人民を主体に考えなければならない。『本土』を自任する社会団体は、台湾の前途に関する知恵もなく無条件に民進党を支持していると、民進党の選挙のコマにされてしまう」と語り、第3勢力としての中間やや左の社会民主政党の必要性を訴えた。