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「蒋介石」と聞けば「気をつけ」、国防部が免除発表


ニュース 社会 作成日:2011年7月20日_記事番号:T00031346

「蒋介石」と聞けば「気をつけ」、国防部が免除発表

 両足をそろえて背筋を伸ばし、あごを引いて顔を正面に向ける直立不動の「気をつけ」。敬意を表したり、集団の規律を保つ際の世界共通のポーズで、軍隊ではお馴染みだが、台湾軍では今後この動作が激減することになりそうだ。

 台湾では蒋介石元総統の時代から、軍隊をはじめ、学校や団体などの集会でも「孫文(孫中山)」と「蒋介石」の名前が出た場合、例えトイレで用を足していても、立っている人は必ず「気をつけ」の姿勢を取り、座っている人はひざ頭をそろえて背筋を伸ばし、「国父」と「蒋公」に対する敬意を表すのが決まりだった。

 1987年に戒厳令が解除された後、一般の学校などではこの慣習は消えていったが、軍隊にだけは残された。守らなかった場合は罰として、休暇中も兵舎に居残り、トイレ掃除や軍事訓練をしなければならないほど厳しく徹底されてきた。

 ところが国防部はこのほど、今後「国父」「蒋公」の名を聞いても「気をつけ」しなくてよいと通達を出した。国防部の『中華民国軍人礼節』と内政部『国民礼儀範例』には、特定人物の名前が出たら「気をつけ」の動作をし、敬意を示さなければならないという規定はないというのがその理由だ。

 退役軍人の中には、戒厳令時代、国民党関連の記念行事では、孫文や蒋介石の名前がしょっちゅう登場し、「気をつけ」の連続でつらかったと懐かしむ人もいる。が、現役兵士の多くは、この決まりに煩わしさを感じており、「気をつけ」から解放される今回の通達は大歓迎のようだ。

 野党からは「強権時代の遺物で、なくすべき」と賛成の声が上がっているが、国民党核心支持層の軍関係者からは、来年の総統選を前にこうした通達を出すのは、馬英九総統の再選にとって不利に働くとの見方も出ている。