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誘拐疑惑のタクシー、トランクの中は「乗客」


ニュース 社会 作成日:2011年7月21日_記事番号:T00031376

誘拐疑惑のタクシー、トランクの中は「乗客」

 「走行中のタクシーのトランクの中から、人が手を伸ばして助けを求めているのが見えた。誘拐事件だ!」15日午後、新竹県警にこんな一報が入った。通報者によると、場所は新竹県湖口郷、台湾西部を南北に走る省道、台1線で、タクシーのナンバーは「2E−XX」。

 すわ重大事件と、直ちにパトカーや白バイが多数出動した。トランクの中に閉じ込められている人質を、一刻も早く救い出さねばならない。ほどなくして、1台の怪しいタクシーを発見。停止するよう求めたにもかかわらず、振り切って逃げたため警察官の確信は強まった。

 問題のタクシーはその後3キロメートルも逃げ続けたが、湖口インターチェンジ付近のガソリンスタンドでやっと、先回りした白バイにお縄となった。「降りろ!手を動かすな!」と警察官に命じられたドライバーは、驚愕(きょうがく)した表情で下車。警察官が「トランクの中は誰だ?」と問い詰めると、ドライバーは「おれの客だ」。

 「人質では?」警察官は困惑したが、ドライバーにトランクを開けさせると、1人の男性がきまり悪そうに照れ笑いを浮かべながら這い出てきた。男性は手足を縛られているわけでもなく、猿ぐつわを咬まされているわけでもなかった。そう、ドライバーの言う通り、れっきとした乗客だったのだ。

 タクシーの乗客は男女6人の中国人観光客。桃園県から新竹県に向かおうとしたが、2台に分乗すればタクシー代が高くつく。そこで運転手に頼み込み、助手席に1人、後部座席に4人、そしてトランクに1人乗り込んだ。息苦しくならないようにと、トランクを完全に閉めずに走行していたという。ドライバーがパトカーから逃げたのは、単に定員オーバーが発覚するのを恐れたからだった。

 真相が分かってほっと安堵(あんど)した警察だが、なんともお騒がせな事件だ。ドライバーは定員外乗車の道路交通条例違反で3,000台湾元の罰金処分に。それにしても、1台のタクシーに6人が乗り込む中国人観光客の節約精神には脱帽するしかない。