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歴史教科書の日本統治時代、「昭和」元号の記載提案


ニュース 社会 作成日:2011年7月25日_記事番号:T00031433

歴史教科書の日本統治時代、「昭和」元号の記載提案

 宜蘭県は22日、台湾の歴史教科書において、1895年から1945年までの日本統治時代について、「明治」「大正」「昭和」といった日本の元号を記載するよう政府に提案する考えを示した。

 台湾の教科書では目下、1895年以前は清朝の元号、日本統治時代は西暦、1945年以降は中華民国暦の「民国」が用いられている。

 しかし、中には日本統治時代に発生した事柄に「民国」や「民国前」を使用することもある。陳登欽・宜蘭県政府教育処長は、日本統治時代の台湾で発生した事柄は「民国」とは関係がなく、台湾が「民国」とつながりを持つのは、国民党政府が台湾に渡った民国34年以降のことだと指摘。

 その上で日本の元号を無視するのは、正しい歴史教育ではないと批判する。特に「民国前」とする表記はばかばかしく、この論理を用いれば清朝や明朝時代もすべて「民国前」で表すことができると語る。日本の元号が不便というなら、かっこで西暦や民国暦を補記すればよいとも提案している。

 宜蘭県は10月に宜蘭で開催される民進党施政6県市の教育局処長会議で、この提案を討論し、同6県市で先行導入したい考えだ。

 高校の歴史教科書編さんにかかわっている張勝彦・台北大学歴史学科教授によると、1895年4月17日の下関条約締結から、1945年10月24日(台湾光復前日)までは日本の元号を記載し、かっこで西暦を補うのが歴史学界では常識だという。

 中央研究院近代史研究所の陳儀深副研究員や、台湾教師聯盟の温貴琳理事長も、歴史的事実とグローバルスタンダードへの対処から「日本の元号+西暦」方式を支持。一方、日本の元号を採用すると、学生に混乱を招くのではとの懸念する中学校の歴史教師もいる。

 政治的立場などにもかかわる敏感な問題だけに、政府がどう対処するか注目されるところだ。