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「台湾ではあり得ない」、中国高鉄事故


ニュース 運輸 作成日:2011年7月25日_記事番号:T00031459

「台湾ではあり得ない」、中国高鉄事故

 少なくとも35人が死亡した中国高速鉄道の追突・脱線事故は、台湾でも大手各紙が「高鉄大国の夢、破れる」など一面トップで大きく報じた。成果を急ぐあまり安全を軽視したことが事故につながった、との見方で一致している。事故に関し台湾高速鉄路(高鉄)は、前の列車が停止すれば自動列車制御装置(ATC)が働き、後続の列車は自動的に減速、停車するためとして、「台湾で同様の事故はあり得ない」と強調した。25日付聯合報などが報じた。


高鉄技術の輸出も計画する中国にとって致命的な事故となりそうだ(中央社)

落雷で追突、「信じられない」

 中国当局による「落雷で機器が故障した」との事故原因説明に対し、交通部高速鉄路工程局の陳正楷副局長は、「落雷が原因の追突事故は聞いたことがない。恐らく世界で初めてだ」と語った。また鉄道専門家である鄭銘彰・元中華民国鉄道文化協会会長も、「落雷による電力システムや通信システムの故障が考えられるが、そうであれば中国の落雷防止技術が非常に遅れていることを示す」と指摘した。落雷による故障の場合、後続の列車は停車しなければならないことは分かったはずで、高速で前の列車に追突したことには「信じられない」と述べた。

 一方、台湾高鉄は、「(台湾の)高鉄の運行は、列車間で少なくとも15キロメートルの間隔を保ち、前方の列車が何らかの要因でブレーキをかけるか停車した場合、いったん安全距離を10キロに短縮した上で、自動ブレーキ、停車装置が作動する」と指摘した。

 また落雷防止については、台湾高鉄のすべてのシステムに接地シールド線と避雷器を設置し、列車や関連設備を雷の直撃から守っていると説明。落雷による高圧電流が設備を損傷させ、電力を供給できなくなったとしても、コントロールセンターが介入して故障個所を隔離し、乗客の安全を確保できると強調した。

メンツが生んだ事故?

 なお聯合報は、今月中国の鉄道部が出版した「旅客報」の中で、「ドイツ人が2〜3カ月で習得する運転技術を中国人は10日で習得した」とうたっていると指摘。これに対し、ドイツ専門家は「不可能任務(ミッション・インポッシブル)だ」と語ったという。

 台湾高鉄はこれについて、台湾の高鉄運転士は最低1,326時間(約8カ月)の訓練を受けた後、現場に出ると違いを説明した。現場に出た後も、精神、身体の健康を定期的に検査していると付け加えた。

 また自由時報は、日本では中国の高速鉄道が新幹線技術を盗用したとの批判があると紹介した上で、中国鉄道部の王勇平報道官が以前「中国高鉄の技術は日本をはるかに上回っている」「日本に関連技術を提供してもよい」などと豪語したことを挙げ、メンツを重んじるあまり、工事の質や安全性がないがしろにされたのではないかと疑問を呈した。