ニュース 石油・化学 作成日:2011年8月1日_記事番号:T00031605
台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサプラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)で30日未明、またしても爆発火災が発生した。1年で7回の火災という異常事態に、政府は第6ナフサ内全66工場を1年以内に順番に停止させて検査を行うよう要求した。台プラグループは、実施した場合、グループおよび台湾石化業界全体が極めて大きな衝撃を受けるとの見方だ。1日付工商時報などが報じた。
1年で7回の火災発生は驚くばかりだ。雲林県は第6ナフサの即時全面稼動停止を求めている(30日=中央社)
爆発火災は30日午前0時50分ごろ、台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)の第3製油工場で起きた。一時は建物4〜5階の高さまで炎が上がったが、2時間ほどで消し止められた。けが人などはなかった。プロピレン回収工程で使われる脱硫乾燥器が破裂し、プロピレンが外部に漏れたことが原因とみられる。
第6ナフサ内での火災事故は昨年7月以来の1年で7回目で、わずか4日前に台塑石化の第1公用工場が焼けて、地元雲林県をはじめ世論の強い批判を浴びたばかりだった。これを受けて台塑石化は、王文潮董事長と蘇啓邑総経理が引責辞任した。
台湾域内需要への優先対応求める
呉敦義行政院長は31日夕方に関係官庁を集めて対策会議を開き、台プラ側に4点の要求を行い即日実施するよう求めた。4点は、▽昨年7月以降7回の事故に関係した生産設備と個所を直ちに稼働停止させ検査を行う▽今回の爆発事故と同様の材質が使用されている圧力容器は、直ちに稼働停止させ検査を行う▽麦寮工業区内のその他の生産設備と個所は、1年以内に期間を分けて順番に稼働を停止して検査を行わなければならない▽全面稼働停止・検査の過程と結果は、台湾および海外の専門的かつ公正な第三者機関の監督と承認が必要──。
これについて黄重球・経済部次長は、台プラは既に製油工場の稼働を停止していると説明した上で、台湾のガソリン・軽油の在庫は各1カ月あり、不足する場合は台湾中油に増産を求め、必要時には輸入を行うとの考えを示した。製油工場の停止によりプロピレンは台プラの供給量の3分の1に当たる生産能力90万トン分が影響を受けると予想され、経済部は台塑石化に対し、台湾域内の需要対応を優先して、輸出を控えるよう求めた。
「世界市場の価格に影響」
政府の要求は法令に基づいておらず、台プラ側は正式な書面を受け取っていないとして正式なコメントを控えている。同グループ主管は、「実際に1年以内に順番に全面稼働停止、検査となれば当グループおよび台湾石化産業への大きさは想像もできないほどだ」と危機感を示した。
台プラ主要4社は、エチレングリコール(EG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、高純度テレフタル酸(PTA)、エチレン、芳香族など多くの製品で世界的大手であり、補完措置なしに工場の稼働を停止させた場合、世界市場の価格に影響する恐れがあるという。
第6ナフサの年間生産額は1兆台湾元(約2兆7,000億円)に上り、台湾石化産業全体の生産額3兆3,000億元の3分の1を占める。また、台湾の域内総生産(GDP)の10〜12%を占めている。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722