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台プラ六軽、月末にも一部停止へ


ニュース 石油・化学 作成日:2011年8月2日_記事番号:T00031634

台プラ六軽、月末にも一部停止へ

 台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサプラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)で1年で7回の火災・爆発事故が発生した異常事態を受け、経済部工業局は1日、危険度の高い工場について1週間以内に停止・検査計画を提出し、月末までに実行に移すよう求めた。その他の工場についても1カ月以内の停止・検査計画提出を求めている。各工場が順次稼働停止となった場合、世界のプラスチック化学、化学繊維、電子部品産業に影響が及ぶとみられるため、台プラ側の具体的な対応が注目される。2日付工商時報などが報じた。


六軽の周辺住民は全面操業停止など5項目の要求を突きつけた。満足な回答が得られない場合は、同プラントにつながる道路を封鎖する構えだ(1日=中央社)

 工業局が1週間以内の停止・検査計画の提出を求めた対象は、これまでに事故が起きた7工場およびこれと同じ材質の圧力容器を使用している危険度の高い工場に関するもので、主に先月30日に発生した台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)第3製油工場での爆発原因が圧力容器の破裂によるものとの見方に基づくものだ。

 また、第6ナフサ内のその他の工場についても1カ月以内に停止・検査計画の提出を求めている。なお工業局は3日に招集する石化監導(監督指導)委員会で、台プラの工場停止・検査に関する検討を行う。同委員会では工業局、雲林県の代表者および専門家などから成る「麦寮プロジェクトチーム」が立ち上げられる予定だ。

プロピレン供給に懸念

 台塑石化の林克彦・広報担当によると、現在同社の製油所(日産54万バレル)は稼働を全面停止しており、現在、1日当たり15億5,000万台湾元(約41億6,000万円)の減収となっているという。30日分ある在庫は、政府の要求に応じて一時的に輸出を停止した。ただ、アジア全体の製油量は日産2,000万バレル以上あり、同社の稼働停止による影響は大きくないとしている。

 同社はまた、第1オレフィン工場(OL1)も8月15日に予定していた再稼働が延期となり、さらに8月中旬から保守点検を予定していた第3オレフィン工場(OL3)も30日の爆発事故を受けて稼働を停止している。

 林・広報担当によると、エチレン供給に大きな問題は出ないが、プロピレンはもともとアジアでの流通量が少ないため、オレフィン工場の稼働停止が長引いた場合、供給不足が起きる見通しだ。

 ただ同日付経済日報によると、1日のプラスチック化学市場では、エチレン価格が1トン当たり1,200米ドルと約5%上昇した。プロピレンに至ってはオファー価格の提示が停止されたと伝えられている。

 また第6ナフサプラント全体の50〜70%に当たる66工場が順次停止、検査に入り、台塑石化OL1に短期内の再稼働が見込めない場合、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)など汎用樹脂の生産能力が低下することになり、プラスチック化学業界において原料不足の懸念が生じるとアナリストは指摘している。

時価総額、1日で2千億元消失

 30日の爆発事故を受け、台塑石化、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)、南亜塑膠工業(南亜プラスチックス)、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)の台プラグループ主要4社の株価は1日、いずれも7%の値幅制限いっぱいのストップ安となり、時価総額は1日で2,020億元減少した。