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医師のイメージ低下、相次ぐ汚職や過労死


ニュース 社会 作成日:2011年8月3日_記事番号:T00031638

医師のイメージ低下、相次ぐ汚職や過労死

 医師といえば高給で社会的地位が高く、女性にとって結婚したい職業の上位に常にランクインする。ところが最近、公立病院の大規模汚職事件の摘発や、医療トラブルをめぐる訴訟の頻発、若い医師の過労死など暗いニュースが相次いでいるため、昔ほど良いイメージは持たれなくなっているようだ。国泰総合医院の洪焜隆副院長は、「20年前に比べて、イメージは少なくとも2割引きになっている」と語る。

 大学入試のための共通試験で500点の高得点を取り、公立・私立の医学部を選択できる息子を持ったある親は、「医師が被告になったり、過労死したりと聞くと、医学部に進ませていいものか迷う」と率直に打ち明ける。

 台湾では以前、内科、外科、婦人科、小児科が人気で「4大科」と呼ばれたが、健保給付制度への不満と医療トラブルを背景に、最近はどの病院も「4大科」の当直医師が不足している状態だ。一方で、患者とのトラブルが比較的起きにくい、眼科や耳鼻科、皮膚科などを目指す学生が増えている。また、当直の必要がなく、患者が医療費を自己負担する割合が高い歯科医も悪くない選択とされている。ただ、歯科医は今後飽和状態になって業者間の競争が激しくなることが予想されている。

 輔仁大学がかつて学生に医学部に進んだ理由を調査したところ、「家族の勧め」という答えが圧倒的に多かった。台湾でも優秀な子供には医師を目指させる傾向があることがうかがえる。裏を返せば、本人が本当に興味を持っているか分からずに医者になっているケースも少なくないということだ。

 洪・国泰医院副院長によると、診療トラブルの9割は、医師と患者のコミュニケーション不足から起こる。患者は医師が診察に熱心でないと感じると怒りが倍加し、トラブルの際に直ちに裁判に訴えるという。このことから、医師にとっては優秀さはもちろんだが、コミュニケーション能力や仕事への意欲が重要であることが分かる。かつて大学の医学部から動物学部に転部し、公衆衛生の研究に進んだ経歴を持つ陳建仁・元行政院衛生署長は、「今の医師の収入は以前ほどではない。医師になるには謙虚さと熱意がとにかく重要だ」と、医師を志す学生たちに呼びかけている。