ニュース 電子 作成日:2011年8月12日_記事番号:T00031868
スマートフォン最大手、宏達国際電子(HTC)は11日、米オーディオメーカーのビーツ・エレクトロニクスを3億米ドルで51%出資し、買収すると発表した。ビーツの技術により音楽配信サービス「HTC Listen」を9月にも立ち上げる方向で、アップルの「iTunes」に挑戦状をたたきつける。スマートフォンおよびタブレット型パソコン業界の競争は、もはやハード規格やOS(基本ソフト)の優劣ではなく、マルチメディアサービスやアプリケーションストアなどソフト面をどれだけ充実できるかで決するとの認識が背景にある。12日付工商時報などが報じた。
周永明執行長(中)とアイオヴァインCEO(左)は、革新的な経営方針で共鳴。今年知り合って半年で買収を決定した(HTC提供)
HTCは今年に入って米オンラインゲーム配信業者、オンライブなどへの出資や、動画ダウンロードサービス用アプリケーション「HTC Watch」の展開などを進めてきたが、アップルのiTunesに対抗して同様のサービスを立ち上げるには、楽曲のダウンロードサービス技術、および魅力的な独自コンテンツを確保する必要があった。
ビーツは「Monster Beats」のヘッドホンとイヤホンが、デザインと音質が高く評価されて大きく販売を伸ばしている。また、同社創業者でCEO(最高経営責任者)のジミー・アイオヴァイン氏は米音楽業界の実力者で豊富な人脈を持つ。先月訪台して熱狂的なファンに迎えられた歌手のレディ・ガガや、カナダの人気歌手、ジャスティン・ビーバーは同社プロデュースのイヤホンを使用しており、HTCは既にガガらからHTC Listen向けの独自楽曲の提供を受けることが決まった。今後もアイオヴァイン氏の人脈を通じて、さらに多くの芸能人との協力が期待できる。この方向でHTCはスマートフォン業界で唯一、メディアプラットフォーム分野でアップルに対抗していくことになる。
HTCはまた、ビーツの音響技術を導入したスマートフォンを今年第4四半期にも発売する。
ベスト・バイの提案きっかけ
HTCの周永明執行長は、ビーツ買収は米家電小売大手、ベスト・バイからの提案がきっかけだったと明らかにした。ベスト・バイで最も売れるスマートフォンブランドはHTC、イヤホンはビーツ製で、両者が協力すれば大人気商品を生み出せると持ちかけられたという。周執行長はビーツについて、「流行音楽によってライフスタイルを変化させる特殊なマーケティング手法を取っており、HTCが学ぶに値する」と高く評価している。
なお、「Monster Beats」のヘッドホン、イヤホンは今年、販売量が前年の3倍に伸び、ビーツの通年売上高は3億5,000万米ドルが予想されている。単純な投資行為としてみても、ビーツ買収はメリットが大きいと言える。
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