ニュース 社会 作成日:2011年8月15日_記事番号:T00031901
内政部戸政司の統計によると、2010年の台湾の合計特殊出生率(女性1人が生涯に生む子どもの数を示す指標)は「0.895」と、一昨年の「1.03」から大きく下落して「1」を割り込み世界最低となった。政府は出生率向上に向けてさまざまな対策を打ち出しているものの、少子化の進行には歯止めがかかっておらず、15日付中国時報は「国家競争力の低下につながる」と警鐘を鳴らした。
同統計によると、昨年の台湾の出生数は16万6,886人で、前年から2万4,424人減少した。なお、行政院経済建設委員会(経建会)が昨年9月に公表した人口予測に関するレポートでは、昨年の出生率について「最悪でも0.92」としており、さらに「0.9を割るのは早くても2020年」と予測していた。しかし実際は昨年の時点で0.9を下回り、台湾の少子化進行ペースが政府の見通しを上回っていることが示された。
簡太郎・内政部次長は昨年の急激な出生数減について、一昨年に発生した世界金融危機の影響を受けたこと、「結婚すると配偶者を亡くして一生寂しく暮らすことになる」との言い伝えがある「孤鸞年」に当たったこと、さらに結婚には縁起の悪いという説がある「虎年」に当たり、マイナス要因が重なったためと指摘した。
今年は若干回復も
出生率低下、人口減少は、急速な高齢化を促し、生産力の低下、税収減、社会福祉コストの増大、政府財政の悪化へとつながり、台湾の競争力に悪影響を与えるとして、政府も少子化問題を「国家安全」レベルの問題ととらえている。
人口バランスの失調を食い止めるため、行政院労工委員会(労委会)が法改正により育児休暇を増やしたり、内政部が育児補助の支給、託児環境の改善を推進、さらに江宜樺・内政部長自らが市民のプロポーズを代行するなど、政府はあの手この手で、結婚、出産意欲の向上に努めている。
今年は景気回復に加え、来年が同年生まれは「成功する」とされる「龍年」に当たることから、結婚が増え出生率も上向くと予想されるが、長期的に見ると一貫して下降傾向が続いている。
生まない理由1位、「経済負担増」
行政院衛生署国民健康局が20〜49歳の女性を対象に行った08年の調査によると、「子供を生みたくない理由」は「経済負担が増える」が既婚者で62.9%、未婚者で55.6%とダントツの第1位。これに「社会、治安、環境が不安定」(既婚11.26%、未婚12.8%)、「親になる準備ができていない」(既婚9.3%、未婚12.6%)が続いた。
女性の高学歴化、離婚率の上昇も少子化の要因とみられるが、中国時報は「住宅価格、所得配分、教育制度、産業構造など、出産、育児とは直接関係ないような経済、社会の問題が影響を及ぼしている」と指摘。「誕生から成人するまで、政府が負うべき責任と義務を見つめ直すべき」と長期的な視野に立った対策を打つよう提言している。
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