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アップル創業者の自己啓発本、台湾出版社がねつ造か


ニュース 社会 作成日:2011年8月19日_記事番号:T00031996

アップル創業者の自己啓発本、台湾出版社がねつ造か

 今年4月に悦読名品文化出版社から出版された翻訳書、『賈伯斯送給年軽人的11個忠告』(ジョブズが若者に送る11のアドバイス)に、ねつ造疑惑が浮上している。ジョブズとはもちろん、アップル社の創業者で、経営者としてカリスマ的人気を誇るスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)のことだ。

 同書は出版されるやすぐに、大手書店の経済ジャンルランキングに顔を出し、7月には5位まで上昇。わずか4カ月間に4,000冊以上を売り上げた。

 ところが、同書には疑惑が山積している。「自分の心の声を聞き、やりたいことをやる」など、ジョブズ氏によるというアドバイスを紹介しているが、その出所やインタビューの詳細は明らかにされていない。原書名も記載されておらず、米最大手のネット通販アマゾンにも、原書とおぼしき書籍は見当たらない。作者のJohn Cageなる人物も不明だ。

 これに対し悦読名品文化出版は、John Cageは作者のペンネームであり、本名は公開していないと説明。また原書については、翻訳原稿の版権を購入した翻訳者が同社に書名を提供していないした。

 しかし、あるベテラン編集者は、中国の故事の引用が多いため外国人が書いたとは考えにくく、さらに外国人名表記が台湾で使われているものではなく、中国で通用しているものが使用されていることも不可解だと指摘した。

 行政院消費者保護委員会(消保会)によると、ねつ造が事実であれば虚偽広告に当たり、消費者は全額返金を要求できる。刑法の詐欺罪に当たる可能性もあるとか。

 書店は経過を見守りつつ販売を続ける方針らしいが、同書については「内容は一般の自己啓発本と変わりない」との評価もあり、ジョブズの名に信ぴょう性がなくなれば、従来のような売れ行きは期待できそうにない。