ニュース 医薬 作成日:2011年8月29日_記事番号:T00032201
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した臓器を患者5人に移植するという、台湾初の医療ミスが発生した。うち4人に臓器移植手術を行った台湾大学医学院附設医院(台大医院)で、電話での情報伝達の不手際に続き、本来2回行うべき確認作業も怠ったことが悲劇を招いた。台大医院は過失を認めており、感染予防のための緊急投薬を行ったが、専門家によるとこうしたケースではほぼ100%感染は免れないという。29日付蘋果日報などが報じた。
謝罪する台大医院。作業手順マニュアルの確認事項にチェック欄を設けていなかったことも明らかにした(27日=中央社)
台大医院は27日夜の記者会見で、臓器移植が決まった24日、病院管理システムには臓器提供者(ドナー)のHIV検査結果が「陽性」と入力されていたが、院内の検査担当者と移植コーディネーターの電話で「陽性」と「陰性」の言い間違いか聞き違いが生じた上、その後、移植コーディネーターや、執刀医など臓器移植チームが病院管理システムの画面で再確認をしないまま、手術が行われたと経緯を説明した。
このドナー(37歳、男性)は23日、転落事故で新竹市の南門総合医院に運ばれ、翌日に脳死宣告を受け、母親が臓器移植に同意した。台大医院は肺、肝臓、腎臓2個を患者4人に移植。また、心臓が台大医院より成功大学医学院附設医院(成大医院)に提供され、同医院で移植手術が行われた。台大医院が手術後にドナーのHIV感染の可能性を疑い検査を実施したところ、26日に感染が確認され、27日に臓器移植を受けた患者にドナーのHIV感染の事実が告げられた。臓器移植を受けた患者は50代の肺線維症の男性などで、プライバシーの観点から詳細は公表されていない。
100%近い感染確率
ドナーの母親は、「息子は同性愛者だったがHIVに感染していたとは知らなかった。人助けになると思ったのに」と泣き崩れた。
国立陽明大学エイズ予防治療研究センターの陳宜民主任は、臓器移植は輸血を行うのと等しく、HIVに感染する確率はほぼ100%との見方を示した。ただ、HIVに感染しても積極的に治療を行えば平均20年以上生存可能だと指摘した。
臓器移植の停止処分も
衛生署医療事務処の石崇良処長は、台大医院のケースは業務上過失に当たるとの見方を示した。医療法で最高50万台湾元(約130万円)の罰金が科され、臓器移植の停止処分1カ月以上1年以下が下される可能性がある。
台大医院から25日にHIV感染を知らされた成大医院はすぐさま、問題の臓器移植にかかわった医療スタッフ31人にHIV感染予防の投薬を始めた。一方、台大医院は28日に該当者16人に検査を通知したところだ。投薬の効果が高いのは、感染の可能性がある時点から24時間以内との声も聞かれ、財団法人消費者文教基金会(消基会)は医療スタッフが感染した場合、病院側に損害賠償を請求できると指摘した。
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